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「胚操作とバイオイメージング」 山口大学・岩尾康宏先生 

2008年1月15日

生命科学への新しいアプローチとして、胚を処理し観察しやすくする方法(バイオイメージング)についての講演であった。特に、精子の先体反応、受精の仕組み、卵割におけるカルシウムイオンの役割、胚の透明化処置、細胞分裂の紡錘糸の観察などについて、詳細に説明してくださった。

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精子の先体反応の観察

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受精直後のCaイオンの観察

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透明化した胚で、細胞分裂の観察

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研究協力体制についての話

【生徒の感想】
 先生の講演は本当に高度なものでした。今までも生物の発生などについていくつかお話を聞いてきましたが、今回の先生のお話は特に、高校生だからといって話を大まかに簡単にというのではなく、私たちにもできる限りたくさんのことを教えてくださっているんだなと感じました。すでに教科書に載っていたりして人々の間で常識とされているようなことではなく、先生自身が今研究されているという最先端の内容だったと思います。印象的だったのは、映像や画像がすごく多かったということです。卵割や原腸形成の様子など、話だけでは想像しにくいところも、すごくきれいな動画や写真が本当にたくさんあって、かなり理解が深められたと思います。そういった画像こそが、先生の研究の方式“ライブセルイメージング”であり、今現在の発生の研究に少しでも触れることができたと思います。
 生殖補助技術について初めていろんなことを知りました。よく“不妊治療”と言われますが、その言い方自体が古いということすら初めて知りました。また、この技術にはさまざまな種類があるということもわかりました。体外受精というのは最近耳にしますが、現在この体外受精で生まれた子供は確か10万人、
12人に1人と言われたのがすごく驚きでした。どれほどこの技術が普及しているのかということがよくわかりました。その他にも顕微受精(ICSI)というのがあって、これなら最低卵1個と精子1個で確実に受精させることができるということを聞いてすごいなと思いました。しかし、先生も言われていたように、生殖補助技術は倫理的な問題ともかなり密接に絡んでいて、きっと日々新しい技術が生み出されていくのだ思いますが、その中でみんなが納得するような技術を選んで使っていかなければならないので、大変だとは思いますが、すごく将来性のある話だと思いました。それから、先生のお話にはわかりやすい例えがよく用いられていて、実際は顕微鏡の中の話なので大きさを言われても想像がつきにくいのですが、身近な大きさの比に例えてくれたりとか、私たちがよく知っているもので例をあげてくれたりして、とてもわかりやすかったです。
 受精卵の外側を透明にして観察するというのには本当に驚きました。そういう全く新しい発想が浮かぶのもすごいと思いました。やっぱり科学者・研究者というのは、人とは違う全く新しい実験をしていくために、すごい想像力とか計画性が必要なんだなと改めて感じました。他にも、カエルの卵が包まれているゼリー状の物質のでき方など、当たり前だと思いこんでしまって普段“どうして?”と感じないようなことまでも先生に一つ一つ教えていただけて、すごく納得することが多かったです。この受精と初期発生の実験は今は両生類でのみ行われていることですが、これから他の生物にもどんどん応用されていき、いつかはその研究結果がヒトにも活かせるとか、ヒトが生きていく上で役立つことになるかもしれません。どんな実験が成されていくのかとても興味があります。

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