第一に、動物を個々の存在としてみる捉え方が大切です。人間は生まれながらにして、誰からも侵されない権利として基本的人権をもっています。私たちが、個々の動物の生きる権利をどのように考えるかという視点です。動物を種全体として捉えて、自然環境や生態系の保全の目的の一部とするのは環境倫理で、本質的に動物倫理と異なります。私たちの行為によって、個々の動物に何がもたらされるかを考えなければなりません。
第二に、動物が、苦しんだり喜んだり、何かを怖がったり期待したりといった、豊かな内面をもっていると認識することが大切です。動物も感覚を備えているので、苦しみを感じるのは当たり前なのに、人間の都合を優先して、これまで動物の立場で考えられなかったことを反省する必要があります。
動物倫理の基本的な視点は、自分の行為が他者(個々の動物)に危害をもたらしうるなら、それを避けようとするものです。