ちょうど2年前に、咳ばかり出るのでコロナだと判断して病院に行くと、原因は心不全で、心臓の機能が低下して、水が溜まって呼吸しにくくなっていると診断されました。心臓の通常の収縮率は65%で、血液を全身に送っています。収縮率が半分を割ると突然死の可能性があるということです。診断されたときの私の心臓の収縮率は30%を切っていました。
MRIによる精密検査で、心臓が肥大しているのが確認されて、「拡張型心筋症」と診断され、急遽入院しました。肺に溜まった水を除き、不整脈を止めるために電気ショック療法を受けました。しかしながら、数日で不整脈は再発しました。
コロナにも感染して、総合病院(虎ノ門)に移送されて、コロナ病棟で2週間治療を受けました。その間、鬱を発症して、精神科も受診して、睡眠薬でやっと眠るような生活を余儀なくされました。再度、電気ショック治療を受けましたが、効果がなく、発症から4か月後、次の治療として、心臓のアブレーション手術を受けました。
「もし、これで効果がなければ、人工心臓の移植を考えましょう」と担当医から言い渡されました。
そのときは、「もうあまり長く生きることができないかもしれない」と考えてしまいました。手術を受ける前に、刀根健著の『さとりをひらいた犬』を読みました。この本の帯には「ほんとうの自分に目覚めること、これこそが人生に奇跡を起こすたった一つの方法である」とあります。
刀根健氏は、全身末期がんから生還した方で、その323日の闘病期間の記録も『僕は、死なない』という本に残しておられます。私自身もあやかって「助かりたい」という気持ちで読んだのかもしれません。
幸運にも、アブレーションの手術で不整脈が止まり、6か月経過後に心臓の収縮率が40%を越えれば、人工心臓の移植は必要ないと判断するということになりました。その結果、収縮率42%で、心臓の大きさも縮小傾向にあるということで、2年後の今、死なないで、教育現場で生徒の科学研究の指導ができるまでに回復しました。