文科省SSH指定校を訪問すると、科学研究会や学会の受賞などの研究成果を示す垂れ幕を目にすることは多い。2006年度にSSH校の指定を受けて10年間主任として取り組んだが、8年目の2013年の6月に職員棟の玄関付近に垂れ幕を設置することになった。
それまで、生徒募集やスポーツ系の部活動の紹介にも、広報用に垂れ幕を設置されることがなかったカトリック系の女子校であった。2年たった2015年に更新されたが、設置から12年目、今はどうなっているのだろうか。
今やSSH事業の採択さえ、生徒募集の広報の戦略と考えている学校も多い時代になってしまった。「理系女」の言葉もなかった時代に、「女子生徒の理系進学支援」を旗印に掲げた教育事業に取り組んでいた頃が懐かしい。SSH申請して、予算を獲得した目的は、ひとえに生徒と教員の科学教育を推進し、研究を楽しめる環境をつくることであった。けっして、研究を強要するものではなかった。