神奈川大学で開催された日本生物教育学会第108回全国大会に参加しました。
口頭発表では、題目「オープン・ラボを起点とした科学研究を支援する教育ネットワークの構築」
【要旨】
両生類は,地球規模での環境問題における「炭鉱のカナリア」として将来の危機を警鐘する役割をしている.急激な気候変動により,多くの種が絶滅に瀕しており,特に日本の有尾類はそのほとんどが環境省レッドデータブックに掲載されている.中学生・高校生の段階で有尾類について深く学び,保護活動を実践すれば,環境問題に関心を持つことは必至である.
本研究では,学校内に,両生類をテーマに中高校生が科学研究に取り組む場として,オープンラボ(山脇有尾類研究所)を開設して,次世代を担う中高生の科学研究を支援する教育ネットワークを構築する試みである.
現在,両生類は再生医療・生命科学分野の研究のモデル動物としても世界的に注目されている.生徒に有尾類の仲間であるイモリを材料にした研究が再生などの基礎的知見を得るのに役立っていることを伝え,研究に取り組む場を提供したい.中高校生段階で,科学的思考力と研究に必要な基礎的な技術を身に着けることは重要であり,科学の面白さに気づくことによって,未解決の課題に取り組む姿勢を身に着けることができると考えてい
る.また,連携する研究所や大学の研究者の情熱に触れることで,生徒の探究心は大きく伸びると考えている.研究所で取り組む内容は,以下の①~⑥である.
①中高校生の生命科学分野の研究を支援する(日本両棲類研究所・広島大学両生類研究センター・基礎生物学研究所が連携).
②動物実験員会を立ち上げて,生命倫理的な問題をクリアできるような指導をする.
③科学研究の成果を発表する場(「高校両生類サミット」を開催)を提供する.
④学校内に有尾類が生息できるビオトープを造成する.
⑤両生類を材料に研究している全国の高校生と交流する場としての役割を果たす.
⑥アジアでの環境学習のための海外研修を企画する。
高校生ポスター発表では、題目「日本のイモリ属(Cynops)の繁殖生態はどのように獲得されたか?」で発表しました。
中高校生のポスター発表は87件。中学校・高校のそれぞれで最優秀賞1件、優秀賞1件、奨励賞3件が表彰されました。高校の部の優秀賞をいただきました。