現在、自分の研究室を地元の高校生に開放して課題研究の場を提供していますが、自分自身が前面に立って高校生を指導する時代ではなく、少しだけでも意思を継いでいただいた若い先生方に頑張って欲しいと考えています。
今、大学で理科の教職課程で教えているのも「何を大切にして理科を教えるのか」「何を大切に生きるのか」ということを考えてもらいたいとの思いからです。
振り返って、指導者として偉そうなことを言ってはいますが、自分の人生の過ごし方そのものも、中途半端だったので、反省して自分の目標を「社会の役に立つことに取り組む」にしています。2009年に「集まれ!理系女子 女子生徒による科学研究発表交流会を始めたのもその気持ちからです。この11年間継続して、文科省SSH指定校(ノートルダム清心学園清心女子高等学校)に主催していただいておりますが、採択の期限があるので、将来はスポンサーになって、開催していただける大学を探しています。その大学の歴史の一部として継続していただけるとありがたいです。これまで交流会の実施に協力していただいた高等学校(清心女子・宮城学院、清真学園、文京女子・横須賀学院、山脇学院、宮崎県立都城泉ヶ丘、岐阜県立岐阜高校、県立宮崎北)や大学(奈良女子大・愛媛大・東北大・沖縄科学技術大学院大、福山大)とのネットワークを拡大して生かしていこうとと考えています
。2019年度で全国大会(東京)は11回目を迎え、全国から参加する高校生約400人、ポスター発表数120件に成長しています。2019年度は、地方大会として、沖縄大会(沖縄科学技術大学院大学)、九州大会(南九州大学)、四国大会(愛媛大学)、近畿大会(奈良女子大学)、東北大会(宮城学院大学)も開催する予定です。全国的なネットワーク構築が実現できるかどうか。最後まであきらめずに頑張っていきたいと考えています。
【若手の生物教師からの手紙】
まずは目の前の1日、 1日を乗り切る日々が続きそうですが、秋山先生からのご連絡をいただきふと昨年を振り返る時間ができました。ありがとうございます。
ぼうぼうどりの生物教室も,拝見させていただいております。
「優秀な生徒には目的(いい大学に入学する)に到達するための勉強だけを教えるのか王道になってしまっているのが現状だ。そして,多くの優秀な生徒がそれを受容して,正義感さえ持っている状況かもしれない。その価値観を学校教育の中心に据えて,すべての生徒にその入試対応への能力の優劣に基づく価値観を押し付けてきた。人間は,心をもった生き物だということを忘れてしまっているのではないだろうか。」
という部分は,私も非常に同感しています。
最近ふと,生物学と芸術は似ているかなと感じています。カメの食性や行動,ヒルとの種間関係が分かったところでお金にはつながりません○ただ,研究している本人にとっては,「面白い」 「知りたい」という欲求が,お金にはならない研究へと邁進させます。この部分については,芸術の「表現したい」 「描きたい」という欲求と根源的には重なる部分もあるのかなと思い始めました。変化の激しい・先の見えない時代。これからの生徒には情報の波にのまれず,周囲の目を気にしすぎず自分の「美的感覚」を大切にしながら自分の人生を創り上げていく力が必要ではないかと考えています。