はじめに
岡山県内の私立高校は24校あるが、今や"女子校は2校のみ"になってしまった。女子校は、全国的にみると公立の伝統校と女子大に併設された学校、中高一貫進学校は残ってはいるが、マイノリティーでしかない。男女共同参画を目指す社会で、共学校を標準とする時代に、女子校が存在する理由となるような役割はあるのだろうか。"男は仕事、女は家庭"を支える女子教育では、現代社会のニーズには応えられない。女子校であり続ける新たな存在理由が求められる時代が到来している。
日本の合計特殊出生率は2005年に過去最低の1.26を記録した。少子化と高齢化が経済に大きな影響を与えている。原因の一つは女性が子どもを産まなくなったことだが、女性が子どもを産めば解決するような簡単な問題ではない。その原因は、ライフスタイルの変化やそれを支える社会サービス、医療技術の進歩などが複雑に絡み合っているからである。ただ言えるのは、女性が社会構造に大きな変化を与えている時代になってきたということである。そして、それをポジティブにとらえれば、女性の力を取り込んだ社会システムの構築が必要とされる時代になったと考えられる。これまでの「女性の才能を伸ばすことを制限している」「子どもを産み育てにくくしている」社会構造に風穴を開けるような変革が必要で、それを下支えするのが学校教育であると考えている。
女子校の構成者は女子生徒だけである。生徒会活動や実験・実習などすべての教育活動において女子がリーダーシップをとらざるを得ない。そのことを、女子校はリーダーシップを養成するのに適した環境と考え、その環境を生かした教育カリキュラムを開発すれば、これまで科学技術分野に占める女性の割合が極端に少ない日本において、女子生徒の理系進学支援のモデルができると考えた。1)