• ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室
  • ぼうぼうどりの生物教室

"厳しく叱って育てる教育"が大切?

2016年9月 9日

「厳しく叱って育てる教育が大切なのに、今の社会ではその重要性が理解されていない」と嘆く教員や保護者がおられますが、本当でしょうか。教育についての心理学者アドラーの意見に少し耳をかたむけてみてはどうでしょうか。以下は、NHK「100分de名著・人生の意味の心理学(アドラー)」からの抜粋です。
 
2016-img706.jpg

 アドラーが教師に寄せる信頼は大きく、「教師は子どもたちの心を形作り、人類の未来は教師の手に振られている」(『子どもの教育』)、とまでいっています。他方、アドラーが親に向ける日は厳しく、教師は、家庭における親の誤った教育の結果である子どもを学校で引き受け、家庭での教育の誤りを教師が補わなければならないといっています。親は「再教育」が必要だともアドラーはいっていますが、『人生の意味の心理学』においては、「教師は、母親と同様、人類の未来の守護者であり、教師がなしうる仕事は計り知れない」といっているように、親の協力も子どもの教育にとっては必須のものです。
 
 アドラーの教育論の基本は「勇気づけ」にあります。親や教師は、子どもが共同体感覚を持ち、対人関係の中に入っていく勇気を持てるように援助しなければなりません。

 教育の世界では、伝統的に「叱ること」と「ほめること」が重視されてきました。しかし、アドラーはそのどちらも認めていません。これは一体どういうことなのか考えてみなければなりません。叱るという行為は、上下の対人関係を前提としています。このテキストの序文で、アドラーは「あらゆる対人関係は『縦』ではなく『横』の関係にあり、人と人とは対等である」と考えた!という話をしましたが、親と子の関係が対等だと考えるならば、親には子どもを叱ることはできないはずです。叱らないのは放任ではないかと批判する人もありますが、必要があれば責任を取ることを子どもは学ばなければなりません。

 失敗の場合は、まず、可能な限りの原状回復をします。次に、もしも失敗によって感情的に傷ついた人がいれば謝罪することが必要です。さらに、今後同じ失敗をしないための話し合いをすればいいのです。叱る必要などまったくありません。

 また、叱られて育つと、人の顔色ばかり窺うスケールの小さな人間になってしまいます。人間というのは本来、ごつごつした尖った部分をそれぞれが持っています。この尖った部分が個性です。それを短所や欠点と見なし、矯正しょうとすると、また、時には何も起こらないうちから叱って子どもの失敗を未然に防ぐようなことばかりをしていると、尖った部分を取り除かれることで、たしかにいい子になるかもしれませんが、自分で創意工夫をして何かをやろうという子どもには育たなくなります。

 アドラーは、叱ることだけでなくほめることも否定しました。ほめられて育った子どもは、何かをしようとする時に、承認されることを期待するようになります。誰も見ていなければ適切な行動をしなくなることは大きな問題です。

 さらに、より重要なこととしては、ほめることも、叱ることと同様に、子どもを対等な存在と見なしていないということです。ほめるという行為も上下の関係が前提となっています。例えば母親は子どもに買い物を頼んで、子どもがそれをちゃんとできたら、「偉かったわね」とはめるでしょう。しかし、妻が夫に買い物を頼み、夫がそれをこなしたときに、妻は夫に「偉かったわね」とは決していわないでしょう。ほめるというのは、能力のある人が能力のない人に対して、上から下す評価の言葉なのです。ほめることができるとすれば、その人の、他者との対人関係の構えが上下関係であるということなのです。子どもでも大人でも、対人関係の下に置かれることを好む人はいません。

  • 投稿者 akiyama : 12:00

最近の記事

第4回高校生両生類サミットを開催  QRコードで申し込み
【交流会のスケジュール】 10:00~10:30 ZOOMへの接続の確認 10:30~10:50 開会行事・ビデオ上映(山脇有尾類研究所の紹介) 10:50~11:20 講義➊日本両棲類研究所所長・篠崎尚史氏 「両生類からの研究の展開」 11:20~11:35 発表① 岐阜県立大垣北高等学校 タイトル:岐阜県に生息する渓流性サンショウウオの生息適地モデルの作成と系統解析 11:35~11:45 …続きを見る
第4回 高校生両生類サミットWeb交流会
目的: ① 女子高校生の理系進学を推進・支援する。 ② ZOOMを使った高校生の科学研究の成果発表を通して、地域を超えた研究交流を行い、理系女子生徒間の友好・仲間意識を深め、全国の理系女子のネットワークの拡充を図る。 ③ 大学や研究所の研究者に、将来のロールモデルとしてメッセージを伝えていただく。 ④ 研究テーマを両生類に絞ることで、深い内容まで踏みこんだアドバイスを行い、高校生の研究レベルの底…続きを見る
2019年購入4年使用PC、Win10からWin11への無償アップデートに挑戦
Shuttleのベアボーンキットで組み立てた自作機がWin10のままだったので、OSをWin11にアップデートしました。機種は2019年11月9日購入のDH310V2(27,489円)です。4年間使用してきましたが、休憩していました。 Win11へのアップデートか可能かどうかを診断したら、「このPCは現在、Win11システムの要件を満たしていません」表示され、TPM2.0が有効になっている必要があ…続きを見る
中高校生の科学研究のためのオープンラボ「山脇有尾類研究所」開所
 中学生高校生が科学研究に取り組むための場所として「山脇有尾類研究所」を開設しました。開所式では、内閣府科学技術イノベーション推進事務局局長、慈恵会医科大学学長、国際医療福祉大学学長にお祝いの言葉をいただき、生徒の研究成果の発表、基礎生物学研究所所長の阿形清和先生に記念講演、研究施設の見学という内容で実施させていただきました。これから、有尾類を研究対象にした生命科学分野の研究と学校ビオトープの造成…続きを見る
山脇有尾類研究所開所式の案内
このたび山脇学園では、有尾類(イモリやサンショウウオなど両生綱有尾目の生物)に特化した研究機関として「山脇有尾類研究所」を設立しました。 両生類は、環境汚染に敏感なため「環境のカナリア」と呼ばれ、両生類の生息数の減少が地球規模での環境問題に警鐘を鳴らしています。さらに、イモリは再生医療の研究対象として世界的に注目を集めています。 本研究所を設立した目的は、有尾類に関する研究環境を中高生に提…続きを見る
山脇有尾類研究所の設立の経緯
 女子高校生にとって生物学は、物理学や化学に比べて、研究テーマを見つけやすく、将来どのような科学分野に研究に進む場合も入り口になると考え、学内に生命科学分野の研究室と動物飼育室を設置することをスタートラインにした。高校生の科学研究の基幹施設として立ち上げる。準備段階で、2022年3月まで南九州大学の理科教育研究室で使っていた研究機器を2022年4月に山脇学園に移管して、生命科学分野の研究ができる基…続きを見る

このページの先頭へ