『新・映像の世紀』第4集「若者の反乱が世界に連鎖した・激動の1960年代」の見た。1960年代の終わりの大きな出来事は「アポロ11号月面着陸(1969年)」。僕が中学校のときの出来事だ。
アポロ11号の乗組員のマイケルコリンズが月から遠く離れた地球を眺めながら以下のように語っている。あれから半世紀が来ようとしているが、今、本当に世界の人たちが平和に共存する国際社会(青と白の姿・クリーンな社会)になったのだろうか。
世界の指導者がはるか上空から自分たちの星を見たら 彼らの態度も根本から変わるはずだ
何よりも重視している国境は見えないし、言い争いもぱったり聞こえなくなる
地球は見える姿の通りにならなければならない
共産主義者も資本主義者もない 青と白の姿に
NHKの番組を見て、1960年代末から1970年代前半に過ごした自分自身の青春時代の出来事が映像を通して目の前に蘇ってきた。1968年4月4日のキング牧師(Martin Luther King)が暗殺されたというニュースを居間のテレビで見たことを今でも覚えている。1960年代後半は世界で若者たちの反乱が同時多発的に巻き起こった時期であった。アメリカ、フランスではベトナム戦争反対の声があがり、チェコスロバキアでは、プラハの春という自由と民主化を求める動きが起こった。チェコスロバキアが急激に民主化するのを警戒したソビエトがワルシャワ機構軍として戦車7000台を導入して弾圧するという事態も起こった。劇作家バーツラフ・ハベルはラジオ放送で「機関銃や戦車も人間の意志や理念に勝てません。今は耐えるときです。ともに耐えましょう。あきらめてはいけません」との声明を流した。テレビという新しいメディアによって団結することが武器であった。テレビというメディアを介して世界で起きている出来事が瞬時に伝わるような時代が到来していたのだ。キューバ革命を起こしたチェ・ゲバラ(1928-1967)、中国を建国した毛沢東(1893-)が新たな時代の旗手として登場した。
この番組を見て一番印象に残った映像は、1968年10月メキシコオリンピックの女子体操の床でチェコスロバキアのチャスラフスカとソビエトの選手が同点で金メダルを受け、壇上でソビエト国家が流れているときにチャスラフスカ選手が目を背けているシーンであった。自国を弾圧している国に対する静かな抗議であったと感じられた。