大学卒業時には研究を志すものの、経済的な理由で大学院進学をあきらめ高等学校に就職、40才過ぎて休職して修士課程は修了した。学位の取得は断念していましたが、研究を志しながら高校の理科の一教員として歩んできた僕自身の歩みにもSSHに取り組むことで変化が起こりました。大学の先生に「研究できる環境がないなら、高校に研究できる環境をつくればいい」と紹介されたのがSSHだったので、生徒だけでなく自分自身も研究に取り組めるようになったのです。そして、何よりも大きいのが、科学研究が教育現場で市民権を得ることができたということです。高校の教育現場では教科の学習指導と生徒指導が中心で、部活動も体育系が中心で、科学部は細々と存続している学校が多い状況があります。そこに、授業として週2時間「課題研究」を設定し、部活動として放課後取り組むことを前提として「生命科学コース」というクラスが誕生しました。生命科学分野の研究環境が整い, SSH3年目の2008年に広島大学大学院理学研究科生物科学専攻に入学し、生徒の指導の傍ら自分自身の研究を進め、3年後の2011年に博士(理学)を取得することができました。在職したままでの学位取得の過程での苦労は、論文作成指導だけでなく生徒への指導にいろいろな面で生かされていると実感しています。