2006年8月23日、福井新聞社。「プロレタリア文学と戦後民主主義文学の代表的作家で、福井県出身の中野重治を記念した全国の高校生を対象にした詩のコンクール「中野重治記念文学奨励賞」が、本人の遺言を理由に2006年度から廃止されることが23日までに決まった。」とある。これまでに約48000人の高校生から約68000編の応募があり、「詩の甲子園」とも呼ばれていた。主催者の丸岡町文化振興事業団(同県坂井市・旧丸岡町)は遺族の了承を得ており、近く関係者に通知する。同事業団によると、重治は「中野重治の名を冠する文学賞、記念碑をつくってはならぬ」と遺書に記していた。
記事に、同事業団によると、理由は「重治の遺言に『自身の名を付けた賞を設けてはならない』とあること」。遺言が問題となったのは十年以上前だが、実績があったため重治の親族の了承を得て続けてきたそうである。研究者などからの批判の声が強いことのほかに、改革が迫られる地方自治体の経済的事情も理由として挙げられている。今、中野重治が生きていたら、自分(中野重治)の研究者からの批判で中止になったことをどのようにかんじるだろうか。遺言通りであることを歓迎するのかな。
「詩の甲子園」では、1993年の第3回(応募3094編で、入選3作品・佳作7作品を選出)で生物部の生徒が「佳作」に入っている。
地球(中村康昌)
緑は人間を愛す
人間は緑を愛す
そして 大地は生きている。
大地は人間とともに生きている
人を支え
緑を支え
人間と共に生きている
そして 地球は動いている。
地球は宇宙と共に生きている
宇宙の銀河系の
太陽系の中の 小さな地球は
宇宙という
限りなく広く
大きいものに支えられ
惑星という一環をなしながら
地球は宇宙と共に生きている。。
人間は宇宙の中に生きている
小さくはかない人間は
大きく永遠の宇宙の中に生きている
はてしなく大きい宇宙に
小さな人間は生きているけど
人間は確かに時を刻む