有尾両生類が連れて行ってくれた未知の世界
私の中学校までの理科に対するイメージは教科書に載っている実験をそのまま行い確かめるものでした。そのイメージが全く変わったのは高校1年生で生命科学コースに入ってからです。私が入学した年はまさにSSH校に初めて指定されたというタイミングで、大学に行って実験する機会や課題研究、海外研修で生物を学ぶ機会など多く得る事が出来ました。その中でも大学での実験、SSH研究発表会に連れて行って下さった事は理科のイメージを変える大きなきっかけでした。大学の実験ではただ確かめるだけのイメージだった実験が新しいことを見つける面白いものだと教えてくれました。さらにSSH研究発表会では同じ高校生でも自分から進んで研究している人がたくさんいてこんな世界があるのかと衝撃を覚えました。そして、もうひとつ研究の世界に連れて行ってくれたのは課題研究で出会った生物教室のサンショウウオです。鳴きもせずひっそりと過ごす静かな生き物だったので怖さをあまり感じず生物の面白さに触れることが出来たのかもしれません。それから毎日生物教室に通ってサンショウウオの世話や実験の日々を過ごし、これからも研究をしたいと思うようになったのです。
選べるか選べないか、それは大きな問題だ
私は初め理科にさして興味がなかったので、担任の先生にこの子はコースを間違えて入ってきたと思われていました(卒業してから聞きました)。しかしこのコースで勉強しなければ、おそらくサンショウウオに触れる機会はなく大学院に行く発想もなく研究をしたいとは思わなかったでしょう。つまりこの様な経験がなければ、研究者を目指そうという選択肢を選ぶことが出来なかったのです。今になって選べるか選べないかは大きな違いだと感じます。みなさんはこれから大学や就職など自身の進路について考えて決める機会が増えていきます。ただ学校生活を送るだけでは選択肢も限られ、それだけで進路を決めるのはもったいないと思います。ちょっとしたきっかけにより自分の世界が広がったという自身の高校生活での体験から、みなさんには将来の選択肢を増やすために興味が少しでもあれば何でも取り組んでほしいと思っています。また興味がさほどなくても何事にも挑戦してほしいです。意外と面白いものや自分に合っているものがあるかもしれないからです。社会人になってからも理系で経験した事は思いのほか役立ちます。例えば考える技術(勉強方法、発想力、計画力など)や伝える技術(英語、文章力、プレゼン力など)はどんな分野に進んでも求められます。今の時期からそれらを身に着けるチャンスがある皆さんには様々な経験を通して自分の武器を増やして欲しいです。最後にこのような経験が出来るのは家族や先生など多くの人の協力のおかげでもあります。感謝の気持ちを忘れず、何事にも挑戦して自分の可能性を広げていってください。