『詞集たいまつⅠ』(評論社)むのたけじ
私が手にしたのは1985年発行の12刷。この詞集の原型は、著者が大手新聞社を辞めて故郷秋田県へ帰り、1948年2月に創刊した週刊新聞「たいまつ」の1ページ目の最上段に載せてきた短句にある。本書「Ⅰ」は1967年春までに掲載されたものをまとめたものである。
「詞」は、1行1文からなるものもあれば10~20行に及ぶものまである。彼は、「コトバを語るにせよ書くにせよ、人それぞれに自分のコトバに自分の全体重をかける態度が大切であって、そのように努力してこそコトバは人と人とがわかり合うための道具となり、種子となり、人のくらしの中に生きる」と語っている。時代が変わっても根底にある人間としての考え方には普遍性があり、現在においても「生き続けている」本だと思う。