『ぼくは猟師になった』(リトルモア)千松信也。
著者は現役猟師である。高校3年まで獣医を志すが、進路希望書提出日に車に轢かれた猫を見つけて"生きているのか"と気になりつつも見過ごして登校したことで、獣医には向いていないと結論。人間が自然を畏れ尊び、その恵みに感謝して生きていた時代のことを学ぼうと京都大学文学部で考古学を専攻、在学中に狩猟免許を取得した。
この本では、猟師になった経緯、獲物を獲ったり、その命を奪ったり、そして解体したりする時々の状況が具体的に紹介されている。狩猟は豊かな自然がなければ成立しない。自然が破壊されれば獲物もいなくなる。乱獲すれば生態系が乱れ、そのツケは猟師に跳ね返ってくる。彼は「自分が自然によって生かされていると素直に実感できる」と云う。