(研修企画の背景)
本校では2006年度から岡山県北部の森林を教材にして、森林実習を実施している。この森林実習の目的は、「森林生態系における生物多様性の理解」と「森林の二酸化炭素吸収量の推定」であり、その研究を進めるための調査を環境学習の教育プログラムとして位置付けて実施している。つまり、課題研究として取り組む過程(基礎知識の獲得やいろいろな問題に対する模索)を通して、環境学習を進めていくスタンスである。
「森林の二酸化炭素吸収量の推定」は、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の方法を用いて、2006年度から継続して毎年夏に実施しており、今年で10年目になる。このように、長期的でグローバルな研究方法に基づくデータの蓄積と研究成果を学校内だけにとどめるのではなく、他の学校や地域と共有することにより、社会的な教育活動に広げることができると考え、今回の久米島の中学校との交流会を企画した。
また、この研修に亜熱帯での森林調査とイモリの調査を盛り込んだ。これからの課題研究の進展に役立つ調査ができきることを期待している。調査地は、危険回避を考えてハブが分布していない座間味島で実施することにした。
【久米島での研修】
<久米島西中学校との交流>
①森林実習(2015年8月4日から8月7日)を鳥取大学教育研究林「蒜山の森」で実施し、これまでのデータ(10年分)をまとめる。
②森林実習のデータ解析に中心的に取り組んだ生徒が久米島の中学校を訪問し、森林実習の成果を発表したり、現地での森林調査や自然観察会を通しての交流をおこなう。
<期待する成果>
①環境調査の成果を他の地域の生徒と共有することによって、広い視野で環境問題を考えることができる。
②高校生にとっては、"わかりやすく相手に説明する"というプレゼンテーション能力と環境問題に対する意識を向上させることができる。
③中学生にとっては、高校生と一緒に活動することにより、科学の課題研究をグローバルな視点で考えることができ、自分たちも取り組める身近なものとして感じることができる。
【座間味島での研修】
<座間味島での野外調査>
①亜熱帯の森林で調査をおこなう。
②中国山地に生息するアカハライモリと同属のシリケンイモリの捕獲調査をおこなう。
<期待する成果>
①中国山地の森林と亜熱帯の森林の二酸化炭素吸収能力を比較するデータを得る。
②中国山地に棲むアカハライモリと亜熱帯に棲むシリケンイモリの生息環境の違いを見つける。
【旅程】2015年8月17日(月)から8月20日(木)