2012年度、シリケンイモリの調査で座間味島を10回訪問した。シリケンイモリは雨が降ると道路に出てくる習性があるようで、雨の日は自動車に轢かれた多くの死体を目にすることになる。調査上は、多くの死体を確認できる地点は多くの個体が生息していると判断できるので役立つのだが、実際に犠牲になったイモリを見ると可哀そうな気持ちになる。そして、気になったのはコンクリート製のU字側溝で、道路を歩くイモリにとってはその側溝が集団死する「死のトラップ」になっていたことだ。座間味島は、イタチの移入でヘビ類が捕食されてしまい絶滅に近い状態にしてしまったという歴史をもっている。幸いにもイモリは捕食対象でないということで生き延びてきた。しかしながら、これまで生き延びてきたイモリも島中の道路に附設さてた側溝への転落という別の理由によって激減することが推測される。朝日新聞(2004年2月24日朝刊)に、奄美大島に設置された蓋のないU字側溝のことが『希少動物に「死の側溝」』という見出しで紹介されていたが、座間味島でも同じことが起こっている。