池上裕莉香、秋山繁治(指導教諭)
現代社会では、人為的な開発による自然環境の改変に加えて、少子化や核家族化などの人間関係の変化が進み、生命の誕生や死を身近に経験することが少なくなってきている。そのような変化の中で、生命の大切さや思いやりの気持ちを育むための教材として、これまで日本の学校で歴史的に維持されてきた「学校飼育動物」の重要さが増していると考えられる。しかしながら、鳥インフルエンザの影響、資金不足、世話の負担などが原因で飼育数が減少していることも予想される。これまで、1999年から出身小学校を訪問しての調査を継続して行ってきたが、より広範囲に多くの学校の情報を得るために2008年は小学校対象で、2009年は幼稚園対象でアンケート調査を実施した。
【目的】
小学校や幼稚園での動物の飼育状況を調べ、学校飼育動物の意味を再考するためのデータを提供する。
【方法】
幼稚園344園を対象に飼育動物についてのアンケートを実施した。203園(59%)から回答を得た。2008年に実施した小学校のデータと比較して考察した。
【結果】
①幼稚園では、基本的に動物を飼っている(203園中202園)
②多く飼育されているのはウサギである(94%)。
③飼育をやめた動物では鳥類が多い。
④飼育上困っているのは、病気への対応である。
⑤動物についての基礎的な知識が不足している。約半数(43%)がウサギの雌雄さえ区別できない状況である。
⑥動物が死んだ場合は、「ゴミとして処理する」が多い(67%)。