以下は、2008年1月17日「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」のp67の記載で、ESDの視点が盛り込まれていることが理解できる。
① 地球温暖化、オゾン層の破壊、熱帯林の減少などの地球的規模の環境問題や、都市化、生活様式の変化に伴うゴミの増加、水質汚濁、大気汚染などの都市・生活型公害問題は世界各国共通の課題となっている。その解決に向けて、有限な地球環境の中で、環境負荷を最小限にとどめ、資源の循環を図りながら地球生態系を維持できるよう、一人一人が環境保全に主体的に取り組むようになること、そして、それを支える社会経済の仕組みを整えることにより、持続可能な社会を構築することが強く求められている。
② エネルギー・環境問題は、人類の将来の生存と繁栄にとってはもちろんのこと、資源の乏しい我が国にとって重要な課題である。21世紀に生きる子どもたちに環境や自然と人間とのかかわり、環境問題と社会経済システムの在り方や生活様式とのかかわりなどについて理解を深めさせ、環境の保全やよりよい環境の創造のために主体的に行動する実践的な態度や資質、能力を育成することが求められている。また、エネルギー・環境問題は、その原因においても、また、その解決のためにも、科学技術と深くかかわっており、その意味で、科学的なものの見方や考え方をもたなければならないことを学ぶことは重要である。さらに、豊かな自然や身近な地域の中での様々な体験活動を通して、自然に対する豊かな感受性や生命を尊重する精神、環境に対する関心等を培うことが必要である。
③ このような状況を踏まえ、これまでも、国際的にも、我が国 においても、持続可能な社会の構築のために、教育の果たす役割の重要性が認識され、様々な取組が進められてきている。
④ 今後は、現行に引き続き、各教科、道徳、特別活動及び総合的な学習の時間それぞれの特質等に応じ、環境に関する学習が行われるようにする必要がある。例えば、社会科、地理歴史科、公民科において、環境、資源・エネルギー問題などの現代社会の諸課題についての学習の充実を図ること、理科において、野外での発見や気付きを学習に生かす自然観察や、「科学技術と人間」や「自然と人間」についての学習の充実を図ること、家庭科、技術・家庭科において、資源や環境に配慮したライフスタイルの確立、技術と社会・環境とのかかわりに関する内容の改善・充実を図ることなどを行う。さらに、幼児教育の段階から、発達の段階に応じて自然体験活動などの体験活動を引き続き進めていく必要がある。