飼育下での繁殖で、以下のレベルに至っています。カスミサンショウウオの飼育を1989年に初めて、有尾類を生物学の研究材料としてやっと使えるなったと感じています。
オオイタサンショウウオ(絶滅危惧Ⅱ類・VU)の保護に役立てるために飼育下での繁殖方法の確立を目指した。まず、孵化から継続して飼育した個体の生殖器官の観察とゴナトロピン注射による排卵誘発によって、多くの個体が孵化から3年で性成熟し、繁殖が可能になることを確認した。受精は基本的に成体を殺さない方法で、①ゴナトロピン注射した雌雄の腹部をしごいて卵嚢と精子を採取し、受精させる方法と②水槽内にゴナトロピン注射した雌雄を水槽に入れ、配偶行動を誘発させる方法を用いた。孵化後から3年経過した個体を用いて、①では、最大で正常発生率100%、採卵後最高で133.5時間(正常発生率31%)は受精能力を保持できることを確認した。②では、雌雄の配偶行動が誘発され、産卵がせまった状態の雌に雄が反応し、産んだ卵嚢に放精する形で受精卵を得ることに成功した。