1.趣旨
少子高齢化、国際化の進展等、我が国をとりまく社会経済情勢の急速な変化に対応していく上で、男女共同参画社会の実現は重要な課題になっている。現在、女性の社会参画がさまざまな分野ですすんでいるが、科学技術分野への女性の参画はまだ低い水準にとどまっている。「平成20年版 科学技術白書」によると、人文・社会科学を含めた女性研究者は年々増加し、平成19年には、10.9万人となり、研究者全体の12.4%を占めているが、平成19年の年平均の全就業者数に占める女性就業者の割合41.5%(総務省「労働力調査」)と比較すると、依然として研究開発分野での女性の進出が遅れていると記されている。また、2005年(平成17年)の女性研究者の割合を比較すると、我が国の女性研究者の全研究者数に占める割合は、国際的に著しく低いレベルにあることも指摘されている。
「第3期科学技術基本計画」や「男女共同参画基本計画(第二次)」には、科学技術分野における女性の活躍促進に向けての課題、必要な施策が記されている。そのなかで、理系分野の人材育成の観点から、女子高校生等の理系分野への進路選択を支援することの必要性が記載されている。次世代の科学技術を担う女性研究者・技術者を育成していくためには、まず、女子の理系分野への興味・関心、国際化にも対応できる感覚と能力を高め、理系分野への進路選択を積極的に支援していくことが必要である。
さらに、理系をめざす女子生徒が増えるためには、学問への興味刺激だけでなく、女性科学技術者をとりまく現状の打破も大きな課題となる。独立した地位が与えられるチャンスがあるなら、研究者をめざす女性が増えても何ら不思議ではない。そのような状況へ移行するためには、社会の意識改革が必要であるとともに、過渡期において活躍する理系女性のロールモデルの提示と女性の科学技術分野でのキャリア形成支援が必要である。
以上のような状況をふまえ、女子の理系分野への進路選択支援と社会の意識改革推進をめざす取り組みとして、女子生徒による科学研究発表交流会を開催する。
2.目的
①科学研究に取り組む女子生徒に発表の機会と生徒同士の交流の場を設けることにより、互いに刺激し合いながら研究への意欲を高め、次世代の科学技術を担う女性研究者の育成につなげていく。さらに、理系女子同士の友好を深め、理系進路をめざす仲間意識を育む。
②同じ女性の立場で、理系分野での経験と機知に富んだ講演を聴き、理系女性の「ロールモデル」に接することで、“女性の生き方”を考える材料を提供し、女子生徒の理系分野へのキャリア意識を高める。
③女子生徒による科学研究発表会を一般に公開することにより、中学生を含む生徒に向けて理系分野に対する興味・関心を喚起する。さらに、女子生徒が科学技術分野へ夢をもって進んでいくことを積極的に受容できる社会へと変容するための意識改革や啓発活動としての役割を果たす。
3.対象
岡山県・広島県を中心とする全国のSSH校、岡山県・広島県の中学校・高等学校の生徒(男子生徒も含む)、学校・教育関係者や地域の一般の方々も参加できるように公開する。
4.研究発表
岡山県・広島県の高等学校及び全国SSH校の女子生徒を対象に口頭発表・ポスター発表への参加者を募集する。口頭発表は、岡山県・広島県を中心に近隣のSSH校から6~8件程度の発表を予定。
5.日時 平成21年10月31日(土) 10:00~16:00
6.会場 福山大学社会連携研究推進センター(宮地茂記念館)
(広島県福山市丸之内1丁目2番40号)
※会場を福山にした理由
SSH校がない広島県東部地域の中心都市である福山で交流会を開催することにより、この地域の理系をめざす女子生徒と岡山県・広島県のSSH校女子生徒との交流、岡山県と広島県の理系をめざす女子生徒同士の交流、岡山県・広島県と全国の理系をめざす女子生徒同士の交流という理系女子の交流の輪を広げていくことができると考えた。
会場は、交通至便なJR山陽本線・山陽新幹線福山駅前(徒歩1分)にあり、岡山県・広島県からの参加や遠方からの参加にも便利な立地である。
7.主催 ノートルダム清心学園清心女子高等学校
後援 科学技術振興機構(JST)SSH交流会支援対象に採択
岡山県教育委員会(申請中)、岡山県(申請中)
広島県教育委員会(申請予定)、福山市教育委員会(申請予定)
8.内容・日程
「女子生徒による科学研究の口頭発表・ポスター発表」と講演会「理系女性の生き方ガイド」で構成する。
日程(予定)
10:00~12:30 開会行事、講演①、ポスター発表
12:30~13:30 昼食・休憩
13:30~16:00 口頭発表、講演②、閉会行事
講演①講師…福山大学薬学部教授 杉原成美 氏
講演②講師…ルイ・パストゥール医学研究センター 宇野賀津子 氏(予定)