ご自身の病歴からスタートし、ご自身の研究から、①イモリのレンズの再生を腹側の虹彩部分から成功、②イモリが中脳の70%を除去しても再生することを確認、を紹介。名古屋大学時代の教え子の最近のnatureに掲載された研究や、山中先生のIPS細胞についても説明していただいた。
病後10年後の心臓の状況
プラナリアの再生能力
アカハライモリの水晶体の再生過程
イモリの脳の手術方法
中脳の再生の様子
ヒトの皮膚からIPS細胞
【生徒の感想】
話題は今注目されている「再生」のお話であり、イモリなどの生物が持つ再生力を医療に応用できるのではないかということでした。お話の中にあった「iPS細胞」については去年の新聞の一面に掲載されていた記事を読んでいたので、少し身近に感じることができました。まず、岡本先生が長年研究されていたイモリのレンズの再生についてのお話を聞きました。イモリの再生能力は高く、手足やレンズを再生できることは以前から知っていました。しかし私は、レンズは虹彩全体から再生されると思っていたので、背側の虹彩からしか再生しないことには驚きました。その後、新聞にも掲載されたように、遺伝子を導入することで腹側の虹彩からもレンズが再生できたとお聞きしました。家に帰り母に今日の講演についての話をしていた時、ふと、なぜ自然の状態では、背側の虹彩からしか再生できないのかと思いました。そのことを質問すればよかったと残念に思います。先生はこのレンズの再生の研究を終えた後、まだ誰も研究していなかったイモリの脳の再生の研究を始められたそうです。そのお話の中で、「まだ誰も研究していなかったので実験方法から実験道具まで一から自分で作り出さなければならなかった。」とおっしゃっていました。実験道具は1年かかってようやく出来上がったそうです。私は自分で作り上げる作業が得意ではないのでとても尊敬しました。実験の結果、イモリの脳は8割ほど再生できるようです。同じセキツイ動物であり、基本的な脳の構造は両生類も哺乳類も変わらないのに、人間の脳はイモリのように再生しません。私の考えでは、人間は脳がなくなると記憶もなくなり、たとえ再生できたとしても、今までの記憶がないため別人格になってしまうと思います。だからたとえ再生出来たとしても、前の記憶である家族や友人を認識できません。それでは再生ではなく新生になるので、人間の脳は再生できないのではないかと思います。最後に先生が紹介されたGossさんの言葉の「もし、すべて再生できたら、死はなくなるだろう」という部分に共感しました。死をなくすということは、自然の営みに反する行為であると思うので、この先、再生について研究する人にぜひ知ってもらいたい言葉です。