理化学研究所神戸研究所(発生・再生科学総合研究センター)から活躍する女性科学者を招いての授業だった。発生生物学の分野の研究でニワトリの初期発生期の胚を使って研究されており、実際に研究材料を持ってきていただき、生徒も実体顕微鏡で、産卵後1日目から3日目までの胚を観察することができた。
発生生物学の分野の英語による講演
ニワトリの発生初期の胚
Siu Shan Mak 研究員
取り出した胚を実体顕微鏡で観察
いろいろな発生段階の胚を準備
【生徒の感想】
●今回の講演は今までとは違ってすべて英語で行われました。専門用語は通訳をしていただき、分かりやすい英語だったので予想以上に理解することかできました。いきなり研究の話に入るのではなく、始めに香港の夜景の写真やショッピングのお話をされたので、英語の講演だと構えることなく、すっとお話に入れました。一番興味深かったことは、ニワトリの卵の発達の様子を見たことです。頭周辺が成長し始めていたステージから心臓の動きや血管がはっきり見えるステージまで約6種類の成長過程を実体顕微鏡で見ることが出来ました。若いステージはまだ体に血管が見られないので薄い色をしていて見えにくかったのですが、大きくなるに つれて、心音が聞こえるのではないかと錯覚するほど心臓の動きをはっきり見ることができました。普段はインキュベータ内で38℃に保って育成しているそうですが、室温での観察で心臓の動きが除々に弱まっていってるのを見て、そのような状況の中でも必死に生きようとしている姿に感動しました。
また、私は今日までスーパーで売られている卵は無精卵であると知りませんでした。卵は全て有精卵で、スーパーで売られている卵は、それ以上成長しないようになんらかの操作を行っているものだと思っていました。実験動物にマウスを利用する例はよく聞きますが、ニワトリの卵で実験することは初めて知りました。コストも低く卵の大きさも観察に適していることなど、自分の行いたい実験には何が適しているかを探すことから研究は始まるのだと改めて実感しました。
●耳のことより、実験材料のニワトリの卵(胚)に関して多く学べた気がします。全部英語だと聞いたので最初は戸惑っていましたが、聞き取りやすい英語で思っていたより理解しやすく安心しました。
実験に使用する動物といえばマウスのイメージが強かったのでニワトリを使用しているとして驚きましたが、何よりも卵の生命力の強さに驚きました。最初もう死んでいるものと思っていたので心臓がちゃんと動いていることに気付いたとき圧倒されました。質問してわかったのですが、卵を砕いてもそこをセロテープ等で補修すれば成長し続けられるとのこと。今でも少し信じられないので実際に有精卵を手に入れて試してみたいと思いました。生命力が強いとはいえ、やはり長くその状態が続くと死んでしまうと聞きました。・・・気になったのでさらに尋ねたのですが・・・・やはり講義にかかった時間くらいでも、もう死んでしまうだろうと言われたので何だか複雑な気分でした。
中耳の骨が哺乳類と鳥類では数が違って聞こえ方も違うということに興味をもったので実際どれくらい違いがあるかどうにか録音して確かめられないものかと思いました。前にテレビ番組で若い人間と歳をとった人間との聴覚の違いを実際の音で実証するというものがあったので不可能ではないのではないかと思います。
(講演後)私が、どうやってサンプルを作るのか尋ねたときに、まさか目の前で実演してくださるとは思わなかったのでとても嬉しかったです。意外と作成に時間がかからないことに驚きました。やり始めたと思ったらもう完成という感じでした。穴を開けた小さな紙に胚が簡単にへばりついたことにも驚きました。
そこまで粘着性があるとは思わなかったので途中で落っこちてしまわないかと冷や冷やしました。てっきり何か特殊な道具ですくい上げて紙に乗せると思っていたのでそれらを一切使わなくても作れることに驚きました。後から聞いたのですがもう少し大きい場合はちゃんと器具を使うとのことで実際に使う器具(手術用具)も見せて頂きました。その器具を使ってサンプルを作るところも是非見たい気持ちもありましたが
片付けている最中だったのでそうもいかず、諦めました。お忙しいところ邪魔してはいけなかったとは思いますが今でも少し後悔しています。
生徒の中に入って、校長先生も胚を観察
材料を観察しやすいように調整中
卵の中を肉眼でも観察
中耳の発生についての研究を説明
講演後、本校で飼育している有尾類を講師の皆さんが観察