シンポジウム: ジェンダーの視点から問う「少子化問題」
【日時】 2007年11月17日(土)午後13時30分(午後13時開場)~午後17時
【場所】 早稲田大学8号館B107教室(西早稲田キャンパス南門を入って左手)
(地下鉄東西線早稲田駅下車徒歩5分、またはJR・西武新宿高田馬場駅より都バス早大正門前下車)
【主旨】
日本社会を近い将来大きく危機的に変容させるといわれ、国家的な課題となっている「少子化問題」。現在、男女共同参画の諸施策とも連関しながら、出生率向上のために多くの対策がとられています。その反面、こうした対策で語られる「少子化問題」が、基底にジェンダーの問題や多様なライフスタイルの可能性を排除する傾向などをもつことに、注意が必要ではないでしょうか。
今年度のシンポジウムでは、解決が自明の目的であるように解されているこの「少子化問題」について、そもそも何が問題なのか、数々の対策はどのように検証されるべきかを、様々な立場のパネリストを迎えて、多方面から問い直してみたいと思います。
まず、人口が縮減している日本社会の近未来予測を幅広く知りつつ、世界の人口問題の中で、また日本の戦後の「第一次」少子化以降の歴史の中での少子化を検討します。さらに、女性の性と生殖の健康と権利を参照しながら、そこに常に働く権力や強制力に注意を喚起します。また、少子化対策がうたう理想的な家族像を、主に性的マイノリティの家族形成の事例から批判的に検証することで、問題の前提を問い直します。最後に、近年出生数が増加し、日本の少子化対策の手本として注目されているフランスの家族政策を、紹介・検討してみたいと思います。フロアとの質疑応答も交え、活発な議論が展開されることを期待しています。
【パネリスト】
山崎 浩志(日本経済新聞東京本社経済部次長)
少子化の先、日本の近未来・調査報道から見えてきたこと
若杉 なおみ(早稲田大学大学院政治学研究科教授)
リプロダクティブヘルス&ライツは、なぜ必要だったのか?・ジェンダー・性・生殖・人口
加藤 慶(目白大学短期大学部専任講師)
少子化政策“正しい家族像”・性的マイノリティの“家族”問題を軸として
神尾 真知子(日本大学法学部教授)
家族政策の“わな”・フランスは日本の少子化対策のモデルたりうるのか?
入場:一般来聴歓迎・入場無料
プロフィール
山崎 浩志(やまざき ひろし)
日本経済新聞社東京本社経済部次長。1987年3月早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1987年4月入社、大阪経済部、東京経済部、パリ支局などで勤務。霞ヶ関各省庁、金融業界など担当。主な連載は「けいざい心理学」「年金を問う」「少子に挑む」「人口減と生きる」「イエコノミー」など。
若杉 なおみ(わかすぎ なおみ)
早稲田大学大学院政治学研究科・科学技術ジャーナリスト養成プログラム教授。ジェンダー研究所研究員。小児科医。免疫学・エイズ研究のため1982年―1992年フランス在住、1995年よりアフリカを中心とした開発途上国への国際医療協力に従事。エイズ、FGMの研究・著作がある。「開発と健康とジェンダー」「リプロダクティブヘルス」「医療と社会」などの講義を持つ。
加藤 慶(かとう けい)
目白大学短期大学部専任講師。横浜国立大学大学院環境情報学府博士課程を経て、2006年度より現職。現在、厚生労働科学研究費補助金 政策科学推進研究事業「次世代育成支援政策における産後育児支援体制の評価に関する研究」分担研究者。専攻は社会学。テーマはセクシュアリティ研究・情報メディア社会研究。著書に、加藤慶・松下慶太編著『情報メディア社会へのアクセス』八月書館、2007ほか。
神尾 真知子(かみお まちこ)
日本大学法学部教授。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程修了。専攻は、労働法、社会保障
法。比較法は、フランス法とアジア法。男女雇用平等について研究しているが、最近は、少子化対策とジェンダーの問題に関心を持っている。論文として、「少子化対策の展開と論点」「少子化対策をジェンダー法学はどう見るか」「フランスの子育て支援」「均等法改正における『性差別禁止』の広がりと深化」など。
コーディネーター
橋本 育(はしもと いく)
御茶の水書房編集者、早稲田大学ジェンダー研究所客員研究員
木村 晶子(きむら あきこ)
早稲田大学教育・総合科学学術院教授、早稲田大学ジェンダー研究所研究員
お問い合わせ先:小林(TEL:03-5286-1536)