「中学生・高校生バイオ研究発表会」で日本生物工学会から本校のK-14の発表が”優秀ポスター賞”を、K-15が奨励賞を受けた。全体では最優秀ポスター賞が1件、優秀ポスター賞が3件、奨励賞が3件であった。
開花と体内時計との関係
岡部友紀(2年)・田村佳子(2年)・中澤夢加(2年)・安田愛(2年)・渡辺有紀(2年)
田中福人(指導教員)・清心女子高等学校(岡山県)
【研究背景と目的】
時間と植物の生命現象の具体的な話題として花時計がある。最初の花時計として知られているのは250年以上前にリンネが作ったものである。現在でも花時計は作られているが、身近な野草について開花時刻を正確にまとめたものは少ないので、学校のまわりに生息する野草について調べたら面白いと考えた。また、それと同時に、開花時刻が何によって左右されているのか、開花が体内時計によって行われているのかについても非常に興味を持った。本校は倉敷市二子山の上にあり、周辺にはさまざまな野草が生育する。そこで、学校周辺の身近な野草についての花時計の完成と、開花時刻が左右される要因と開花に対する体内時計の存在を解明することを目的とし、実験を行った。
【材料・方法】
4月初旬から7月中旬にかけて、校内に生息するマツバウンラン、ナガミヒナゲシ、アブラナ、セイヨウタンポポ、ムラサキカタバミ、カタバミ、カラスノエンドウの7種の野草の観察を行い、開花時刻が分かるように約一時間間隔で写真撮影を行った。さらに、野外のムラサキカタバミ、オニノゲシ、ヒメジョオンを鉢に植替え、温度25℃、明暗12時間周期の条件下で開花の様子をビデオ撮影した。また、花のついている地上部を切り取り、養分補給のため規定濃度に薄めたハイポネックス中で栽培し、温度25℃、恒明条件下で育成し、開花のようすをビデオ撮影した。
【結果・考察】
野外での観察結果から、カタバミは10時、ムラサキカタバミは11時、セイヨウタンポポは10~11時に開花することが分かった。カラスノエンドウとナガミヒナゲシは詳しい開花時刻は分からなかったが、それぞれ昼過ぎと、夜中から明け方にかけて開花することが分かった(図1)。調査した時期の日の出は5時前であり、それぞれの種の開花時刻と日の出時刻との間には大きな差がある。また、セイヨウタンポポは4月中旬では10~11時に開花し、16~17時に閉花したが、5月中旬では8時前に開花し、15時過ぎに閉花した。4月中旬の平均気温は15~16度であり、5月中旬の平均気温は18~19度であったので、温度が開花時刻に大きく影響していると考えられる。しかし、個体を鉢に植替え、温度一定条件下で観察を続けた結果、オニノゲシは7~11時半にかけて開花し、ヒメジョオンは9時から11時にかけて開花、16~18時にかけて閉花し、ムラサキカタバミは8~14時半にかけて開花、16~1 7時30分にかけて閉花することが観察された。つまり、開花時刻は温度変化によって前後し、開花そのものについては体内時計が存在することが示唆された。