広島大学の長沼毅先生の講演であった。チューブワームの話から、海底探査の話、進化の話など、今までの進化に対する考え方に革命的な変化を起こることを予言するようなダイナミックな内容であった。
最初はチューブワームの話であった。
基本構造、消化器官を欠き、体内共生菌に栄養依存。
化学合成をするイオウ細菌
著書「深海生物学への招待」、「生命の星・エウロパ」(NHK出版)
講演者長沼先生からいただいたメッセージ 西暦2005年、私たちの頭上に「国際宇宙ステーション」が浮かんでいる。私は、これの建設に携わりたいと願い、1995年の宇宙飛行士募集に応募した。しかし、準決勝で敗れ、悔し涙を呑んだ。それまでの人生の努力のほとんど全てが無に帰したような虚脱感にとりつかれた。最終選考に残ったのは野口聡一さん、準決勝の一週間、私と隣同士だった男だ。
どんなに努力してもダメなときだってある。でも、敗者復活って言葉を胸に、何度でもやり直せる。私は、自分の研究を通して宇宙にアクセスしようと思った。自分で宇宙に行くのではなく、自分の仮説を宇宙にまで展開するのだ。私は研究方向を大幅に変針した。1996年、私は『深海生物学への招待』を上梓し、「生命は太陽のみにて生きるにあらず」という生命観を得た。つまり、太陽の恵みがなくても、惑星はそれ自身で生命を誕生させ、生命のインキュベーターたり得るのだという予感だ。2004年にはその続編『生命の星・工ウロパ』を出し、私の惑星生命観を世に問うた。
頭上に宇宙ステーションが浮かぶ時代、私たちは足下に地下生物圏が広がっていることを知った。私は宇宙から地球の内部へと人生のコースを変えた。しかし、高度400kmの軌道から地球内部へと「視線」が変わっただけで、見ているのはやはり宇宙なのだ。これが私なりの敗者復活である。文豪ビクトル・ユゴーの言葉を借りよう。
「海の内部を見ること、それは未知への想像力を見ることだ」