本研究は平成18年度から設定する「生命科学コース」を中心に次の4項目を研究の柱にして、女子の理系進学を支援し、将来科学技術分野で活躍できる人材を育成する女子教育システムを構築し、女子校のモデルケースとしての情報を社会的に提供したい。
①女性の科学技術分野での活躍を支援できる教育課程、教育内容の開発
・入学の時点から「生命科学コース」「文理コース」という2コースを設定。
・学校設定科目「生命科学基礎」「生命科学課題研究」「実践英語」を設定。
・理科の授業を重点配分し、3年間で19単位(最大25単位)設定。
・理科の実験実習を充実。
②「生命」を科学的に捉える視点の育成
・学校設定科目「生命」を設定。「生命」を多面的視点で捉える内容。
・遺伝子工学・発生生物学分野などの技術を盛り込んだ先端技術・研究成果を生 かした実習を充実させた授業内容。
③女性の積極的に学ぶ姿勢とリーダーシップを育てる教材と指導法の開発
・「野外実習」「研修旅行」を設定。
・女性研究者・学生との交流を深める講義や実習を設定。
④大学や研究機関と連携した教育体制の構築
・「生命科学基礎」「生命科学課題研究」「生命」「野外実習」「研修旅行」な どの教育活動において多様な大学・研究機関と連携。
この女子校での研究活動が、女子生徒が科学技術分野へ夢をもって進んでいくことを積極的に受容できる社会へと変容するきっかけになると考えている。
○教育課程の特例
生命科学コースの1年次では情報A(1単位)の代わりに「生命科学基礎」を開設。2年次では情報A・保健(各1単位)の代わりに「生命科学課題研究」を
総合的な学習の時間(2単位)の代わりに「生命」を開設。文理コースの2年次では総合的な学習の時間(2単位)の代わりに「発展科目」を開設。また、生命科学コース1~3年次に学校設定科目「実践英語」(各1単位)を開設。
○大学研究機関との連携
鳥取大学の蒜山演習林での「野外実習」や福山大学生命工学部での大学レベルの実験・実習、「生命」での多様な研究者による講義などを通して、「生命」を科学的に捉える視点を育成するとともに、女性として科学技術分野で活躍する自己の将来像を描ける生徒の育成を期待できる。
○高大連携の改善
姉妹校であるノートルダム清心女子大学や、高大連携教育に関する協定を締結した近隣の川崎医療福祉大学と高大接続の改善に向けた取組を推進していく。高大のコミュニケーションを密にしながら連携した教育体制の構築をめざす。
○国際性を高める取り組み
「実践英語」では英文の多読という手法で、科学論文からの情報収集力や、国際社会に対応した“使える”英語力の養成をめざすとともに、これまで実施している海外研修をさらに充実させる。