高校2年次に履修する「発展科目」の説明会があった。昨年までは、コース制でなかったので、18講座から自由に選択する形であったが、来年度(2006年度から)は、文理コース、生命科学コースに分かれるので、生命科学コースの生徒は全員、「生命」という講座を受講するようになる。
また、文理コースでは、川崎福祉大学との高大連携講座が開設され、新たに大学の授業を受けられるようになっています。以下は、連携講座の説明です。
講座名 講座名 知って、役立つ 「マネジメント」
~21世紀の医療福祉サービスとそのマネジメントのあり方~
担当 川崎医療福祉大学 医療福祉マネジメント学部
高校生の皆さんは「マネジメント」という言葉にはあまり興味・関心がないかも知れません。しかし、社会の営みの多くは「マネジメント」によって支えられています。例えば、体育系の部活動にはマネージャーがいることは皆さんもよくご存知でしょう。選手の募集、練習・合宿計画や試合日程の作成、応援の体制作り等、 ヒト を動かすことはマネージャーの仕事です。また、色々な競技道具やユニフォーム等の モノ の調達をしたり、部活動に必要な部費や遠征費を集め、部の おカネ を管理するのもマネージャーの仕事でしょう。さらには、対戦相手の成績や実力等に関する 情報 収集や分析、あるいは練習場の安全性や 使いよさ の確保といった環境整備もマネージャーの仕事と言えます。一般に、マネージャーの仕事についてのキーワードは“ヒト、モノ、カネ”さらに“情報、環境(使いよさ)”と言われることがありますが、部活動のマネージャーの仕事はこれら5つの要素を適切に整えて、活発な部活動を維持していくことです。
このような部活動のマネージャーの仕事は、選手のプレーのように華やかで、目立つものではなく、どちらかと言えば、“縁の下の力持ち”的な存在で、地味なものです。しかし、優秀な成績を残すチームには、必ずと言ってもよいほど、有能なマネージャーがいるはずです。医療福祉サービスのマネジメントもこれと同じことが言えます。医療機関・福祉施設におけるマネジメントの役割や機能は、医師や看護師のように、利用者や患者に対して「直接に」診療・処遇サービスを行うことがないので、感謝や尊敬あるいは憧れの対象になることは少なく、決して目立つことはありません。しかし、部活動のマネージャーと同じように、医療機関・福祉施設におけるマネジメントも医療福祉サービス提供のためには、なくてはならない存在なのです。この講座では皆さんに、「医療福祉マネジメント」という社会の営みの一分野を学ぶことを通して、社会に対する目を開き、広くものの見方、考え方を身につけてもらいたいと考えています。この講座を履修することによって、高校生の皆さんが新たな興味・関心を発見し、未知の領域に挑戦する勇気と学ぶ楽しさを体得することを願っています。
ところで、一口に医療福祉サービスと言っても、その仕事の領域は、社会福祉士や看護師あるいは臨床心理士などのように、利用者や患者の「生活面」を支援するために、彼等に対して直接に処遇サービスを提供する専門職から、医師や作業療法士・理学療法士、あるいは言語聴覚士や視能訓練士などのように、利用者や患者を「医療面」から支援するために、彼等を診断・治療・指導する専門職に至るまで広範囲にわたっています。
言うまでもなく、利用者や患者に「直接」関わりを持つこのような専門職の人達がいなくては、医療福祉サービスの提供は成り立ちません。しかも、少子・高齢化が進行する21世紀の日本では、医療福祉サービスを必要とする老人の数は今以上に増えていくのに対して、それらのサービスを支える働き盛りの人数は徐々に減ることになり、その結果、医療保険、介護保険、年金等の社会保障制度を支えるための国民の負担額が大幅に増加したり、お年寄りを世話する介護福祉士などの数が減ることになります。例えば、日本のお年寄りの介護は、近い将来、外国人の出稼ぎ労働者に頼らなければならなくなるということまで言われています。したがって、今後、国民が望む良質の医療福祉サービスを安定的に、そして国民の負担能力に見合うように提供するには、社会福祉士や看護師等の各種の専門職がそれぞれの能力を十分に発揮できるように、彼らを側面から支援するマネジメントの専門職が必要であると言われています。
このようなことを考えて、川崎医療福祉大学では、2005年4月より、医療福祉経営学科、医療秘書学科、医療福祉デザイン学科、医療情報学科の4学科から構成される医療福祉マネジメント学部を新設し、医療福祉サービスの提供に必要な“ヒト、モノ、カネ、情報、環境(使いよさ)”をよく理解し、組織を効率的に管理・運営することができるマネジメントの専門職の養成を開始しました。