1997年6月26日米国連邦最高裁判所は通信改革法の一部である通信品位法(CDA:Communication Decency Act)が言論・表現の自由を定める合衆国憲法第1条に違反するとの判決を下した。判決直前には、同様の内容の州法に関し、ニューヨーク州やジョージア州でも違憲判決が下されている。昨年2月7日の大統領の通信品位法署名以来、電子フロンティア財団が、喪章をwebページに掲げて「言論の死」をアッピールし、抗議表明の運動が拡がっていった。日本では「インターネット上の猥褻画像、文書などから子どもを守ることを目的とした『米国通信品位法』に対し連邦最高裁が26日違憲判決を下した」というタイプの表題で現されるように、一般に猥褻規制だけが問題にされているが、米国で問題になっているのは、法文の規制がインターネット上の情報の全面的規制につながっていく懸念を考慮しての抗議である点をとらえなければならない。最高裁の判決文中で「民主主義社会での表現の自由による利益は、どのような理論的根拠もない検閲の利益にまさる」という箇所がある。