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性教育の実践からSSH事業での「リケジョ」支援へ
 「生命科学コース」の誕生とともにスタートしたSSH 事業は、学級通信の情報発信を続けていく過程で性教育の重要性に気づいたことが原点になっている。
 2006 年にSSH の指定を受けたときは、女子生徒の理系進学支援を掲げた取り組みは少なかったが、「リケジョ」という言葉が、2010 年頃からメディアで使用され始め、少子化の中で女子生徒に理系進学のメリットをアピールするのに用られたりして、将来の「リケジョ」を増やそうと様々な取り組みも行われるようになった。
 「集まれ!理系女子 女子生徒のための科学研究発表交流会」は今年度で8 回を数えたが、大会冊子の表紙は継続して目をあしらったデザインを採用してきた。そのデザインに込めたメッセージ"You are preciousin My eyes"(あなた方生徒は、神の眼差しの中でかけがえのない存在なのである)である。それぞれの生徒がその才能を伸ばし、かけがえのない存在になって欲しいという願いを込めている。教員生活の初めの段階から性教育に関わることによって、性教育を通して、多くの先生方と出会い、生徒と信頼ある関係を築くことができた。と同時に、自分自身の「生き方」を考えさせていただいたことに感謝している。

  • 投稿者 akiyama : 16:10
関西性教育セミナー10周年記念誌『性について、語る、学ぶ、考える』の「30年の性教育の実践」⑦生命科学コースの誕生
生命科学コースの誕生  文部科学省は第3 期科学技術基本計画(2006 年)で、①大学や公的研究機関は、女性研究者を積極的に採用及び登用することが望ましいとし、②博士課程(後期)女性研究者の採用目標を自然科学系全体で25 パーセントとするという具体的な数値目標まで設定して、科学技術分野の女性を積極的な支援する方針を打ち出している。この女子の科学者支援の方針を追い風にして、2006 年に本校は私立…続きを見る
関西性教育セミナー10周年記念誌『性について、語る、学ぶ、考える』の「30年の性教育の実践」⑥女子校は今の社会でも必要なのか
女子校は今の社会でも必要なのか  1990 年代半ばから「少子化時代の生き残り戦略」として多くの学校でコース制の導入やパソコン整備、校名変更、共学化などの学校改革が進められてきた。岡山県内の私立高校は24 校あるが、今や女子校は2校のみになってしまった。全国的にみると公立の伝統校と女子大をもつ学校、中高一貫の進学校が残っているが、今や女子校はマイノリティでしかないというのも事実である。男女共同参…続きを見る
関西性教育セミナー10周年記念誌『性について、語る、学ぶ、考える』の「30年の性教育の実践」⑤授業「生命」
授業「生命」  1990 年代は、「リプロダクティブ、ヘルス/ライツ」を提起したカイロ国際人口会議(1994)、女性の地位向上の指針となる「行動綱領」が採択された北京女性会議(1995)、男女共同参画社会基本法の公布(1999)などに象徴されるように、女性の人権に関連した一連の大きな動きがあった。そのような時代に、授業「生命」 (1999)は、ホームルーム活動や総合的な学習の時間での性教育の実践…続きを見る
関西性教育セミナー10周年記念誌『性について、語る、学ぶ、考える』の「30年の性教育の実践」④翻訳によるエイズ学習
翻訳によるエイズ学習  性教育に関係した教育活動は、関係する各教科の授業やLHRの性教育の時間だけではなく日常的な教育活動の中でも展開できる。ここで報告するのは、卒業を直前にひかえた時期に、生徒と一緒にエイズに関する本の翻訳作業をしたというだけのものであるが、そこから自分自身が学んだことを紹介する。1990 年の文化祭で、担任した高校2年生のクラスで、今の社会問題に対する意見を、教師に負けない内…続きを見る
関西性教育セミナー10周年記念誌『性について、語る、学ぶ、考える』の「30年の性教育の実践」③性教育とエイズ
性教育とエイズ  エイズが社会的な問題として扱われた時期に、民法のテレビ局から「コンドームを使った授業を公開してくれませんか」という依頼の電話を受けることがあった。エイズ感染の原因の多くが性的接触であったので、性についての基礎的な知識を教える性教育の重要性が再認識された。エイズ感染予防対策の一 環として、全国の高校生ひとりひとりに「AIDS 正しい理解のために」(1992 年10 月発行)という…続きを見る
関西性教育セミナー10周年記念誌『性について、語る、学ぶ、考える』の「30年の性教育の実践」②学級通信「ぼうぼうどり」が出発点
学級通信「ぼうぼうどり」が出発点  学級通信を初めて出したのが、赴任して3 か月過ぎた1983 年7 月13 日であった。高校1 年生を担任し、最初から生徒と私の考え方が正面からぶつかる状況が続いていた。それをなんとか解決したい、自分の思いを理解して欲しいという気持ちから、学級通信「ぼうぼうどり」を発行した。最初は理解されるどころか、ゴミ箱に捨ててある状況だったが、とにかく辛抱強く、自分のメッセ…続きを見る
関西性教育セミナー10周年記念誌『性について、語る、学ぶ、考える』の「30年の性教育の実践」①はじめに
はじめに はじめに 2016 年11 月、1983 年からのカトリック系中高一貫女子校(ノートルダム清心学園清心女子高等学校)の勤務を終えた。そして2016 年12 月、学園理事長シスター渡辺和子が逝去された。一つの時代が過ぎていったという思いがある。理事長の著書『置かれた場所で咲きなさい』は200 万部を超えるベストセラーになった。その本の帯には、「人はどんな境遇でも輝ける」とある。人はそ…続きを見る
地域猫写真展 西大寺緑化公園・百花プラザで開催
岡山市東区の西大寺緑化公園・百花プラザで、9月14日~9月16日まで「ありがとうを伝えたくて・地域猫写真展」があります。今、岡山に帰省していて、ふと自宅に貼ってあったチラシをみて、訪問してみました。緑化講演の中にある施設に行くのも初めてで、ふらふらと散歩がてら、草木に夏の終わりの季節を感じることができました。 飼っている二代目ミイも、2018年に亡くなった先代ミイも地域猫です。先代ミイは、娘が中…続きを見る
Pedagogical Insights Gained through Rearing Salamanders at School
Due to ethical concerns, it is becoming more and more difficult to use wild animals, including wild amphibians, for scientific experiments. This situation encouraged me to develop a reliable method …続きを見る
エイズを学ぶ研修旅行 語学と観光の旅からの脱却をめざして
 約30年前(私が教員になってまもない30歳頃)、エイズが社会問題になっていた時期に、生徒を語学研修の海外研修に引率したときに、会話の授業だけでなく、社会見学やエイズについての講演を盛り込んだ内容の教育プログラムを実施して、考えたことをまとめた原稿です。 1995年6月1日発行 月刊高校生6月号(高校出版)にp62-69されました。 海外研修をただの観光旅行にしたくなかった  最近では、・生徒も…続きを見る
30年前の教育実践 
   教育論文「"SEFER SEX"の翻訳によるエイズ学習」は1994年3月1日発行の『月刊高校生』3月号(高校出版)p38-45に、特集「社会・進路・人生を考える場をつくる実践」として掲載していただいた。30年前(私が30歳のとき)の教育実践になる。 授業の枠にとらわれたくない  学校という囲いのなかで暮らしている上、教える側と教えられる側という立場や、指導する側と指導される側という立場が存在…続きを見る
30年の性教育実践「学級通信」から授業「生命」、女子生徒の理系進学支援
 2017年4月発行の関西性教育セミナー10周年記念誌『性について、語る、学ぶ、考える』の「30年の性教育の実践(「学級通信」から授業「生命」、女子生徒の理系進学支援)」P78~81から引用 はじめに 2016 年11 月、1983 年からのカトリック系中高一貫女子校(ノートルダム清心学園清心女子高等学校)の勤務を終えた。そして2016 年12 月、学園理事長シスター渡辺和子が逝去された。一…続きを見る
授業「生命」での生き方教育(「大切なもの」をどのように伝えるか)
『現代性教育研究月報』2005年8月号Vol.23.No.8・P1~5から抜粋 今から20年前にまとめた性教育の取り組みの実践報告です。近年の大人の新型鬱病の増加、中高校生の自殺の増加の背景には、物質的に豊かになり、情報社会になった今の社会であらためて「生きる意味の問いかけ」があると私は考えています。このような授業を学校で実施することが許されるのでしょうか。  中学校では2002年度、高校では2…続きを見る
性教育の全体像をとらえると
女子校に赴任して、生徒指導としてではなく、人権教育として理解しなかればならないという時代に教員になりました。1986年8月の日本性教育学会での「高等学校の性教育の実践と問題点」の発表から2017年4月の関西性教育セミナー10周年記念誌『性について、語る、学ぶ、考える』の執筆まで、性教育に取り組んできました。あれから30年以上が経ち、今は教育現場でジェンダーという言葉も理解されるようになったのでしょ…続きを見る
「あきらめる」ことを受け入れる
 ちょうど2年前に、咳ばかり出るのでコロナだと判断して病院に行くと、原因は心不全で、心臓の機能が低下して、水が溜まって呼吸しにくくなっていると診断されました。心臓の通常の収縮率は65%で、血液を全身に送っています。収縮率が半分を割ると突然死の可能性があるということです。診断されたときの私の心臓の収縮率は30%を切っていました。 MRIによる精密検査で、心臓が肥大しているのが確認されて、「拡張型心…続きを見る
苦悩は人間の「能力」の1つである
「うつうつと気がふさいで、何のために生きているかわからない。先行きのことを考えると、不安で不安でたまらない。何を見ても心が動かず、まったく意欲が湧いてこない 悩みや苦しみを抱えている状態というのは、居心地の悪いものです。この苦しみがなかったら、自分の人生はどんなにいいだろう。なぜ自分の人生は、こんなにもつらいものになってしまったのだろう。子供の頃は何の不安もなく、あんなに楽しかったのに。  そん…続きを見る
映画『関心領域』をみて、感じたこと。
 1945年は、アメリカ軍が3月に東京を空襲(東京大空襲)(死者は約10万人)、4月に沖縄本島に上陸。8月には長崎と広島に原爆が投下された年です。アンネ・フランクも3月に亡くなっています。  映画『関心領域』は、その時代に、アウシュビッツ収容所の所長ルドルフ・ヘスとその妻ヘドウィグら家族は、どこにでもある穏やかな日常があり、子どもたちの楽しげな声が聴こえてくる幸せな暮らしを描いています。彼らが幸せ…続きを見る
「学生の声を聞く」という視点で構成したZOOMによる最終講義
「中等教科教育法・理科Ⅱ」15回の最後の5回を、コロナの感染者が激増影響で、大学での最後の講義(文字通り最終講義)をZOOMで実施することになった。退官講義としてのセレモニーは用意されることは予想できないので、自分で"最終講義"と銘打って、講義の3日前に知人たちに案内し、4名の友人に講義をお願いした。 「最終講義」とは「退官講義」で受け取られ、教授が一人で講義するスタイルだが、今回の講義は、本当の…続きを見る
最終講義 理科教育研究室教授 秋山繁治
南九州大学教授としての最終講義を1月29日(土)の9時から18時までZOOMで行います。 朝9時から夕方6時まで、8時間近い長時間の最終講義になります。 最終講義といいながら、主役は学生です。中等教科教育法・理科の受講生11名全員が20分のプレゼンをし、質疑応答で講義を進めていく内容です。 冬休み前に、学生に『君たちはどう生きるか』(1937年に刊行された吉野源三郎の著作)を渡して、それを参考に…続きを見る
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