以下は、朝日新聞の記者のインタビューから引用です。
●どんな研究をしたの?
アカハライモリの繁殖期とされていた時期とは異なる、「秋から初夏」という考えに着目し、「なぜ秋から配偶行動を取り始めるの
か」という疑問をもとに、研究を始めました。その結果、多くのイモリ属は冬からを繁殖期としているところ、アカハライモリは世界分布で北限の日本の冬に適応するために秋の配偶行動を身につけたということがわかり、繁殖期を決める鍵が温度であると突き止めました。
●どんな場所で?
学校内のオープン・ラボとして利用できる山脇有尾類研究所の研究室・飼育室で行いました。長い間使われずに保存されていた固定標本の観察と産卵実験を中心に研究をしました。
●研究面で苦労したことは?
長期間保存の影響で硬化が進んでいる固定標本から、きれいに薄切して永久プレパラートを作製し、観察するまでの手順の確立に時間がかかりました。また、繁殖期を調べるにあたってその季節でなければできない研究があるので、何をいつ頃やるのかをイモリの生殖器官の成熟具合を予想しながら、計画を立てることにも苦労しました。
この研究をとう発展させていく?
現在イモリを含む有尾類は、人為的な生息環境の改変などによって生息数が減少し、日本に生殖するほとんどの種がレッドリストに掲載されている状況です。繁殖生態の理解は、保護を考え、対策を講じるための起点になります。生殖器官の変化などの生理的な側面だけでなく、環境変化の影響についても研究を行っていきたいです