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若い頃の教育者は、①制度を良くしようとする、②成果を出そうとする、③組織の中で影響力を持とうとするという方向に引き寄せられます。
しかし、晩年の教育者は、制度を回す人ではなく、制度の限界を知っている人の立場になります。
①制度は万能ではない、②正しさは人を救うとは限らない、③成果は意味を保証しないということを体験として知っています。

有尾類――イモリやサンショウウオの研究は、決して効率のよい研究ではありません。成長は遅く、繁殖は不確実で、結果が出るまでに長い時間がかかります。それでも私は、晩年の教育者として、生徒の科学研究の場として有尾類研究所を立ち上げて、今も生徒と一緒に研究を続けています。

① SSHは、成果を可視化し、生徒の可能性を広げてきた制度です。一方で、研究が「短期間で結果を出す競争」になりやすい側面もあります。有尾類研究は、その流れに逆らい、「急がない探究」の価値を静かに問い返します。

② オープンラボは、成果や評価を最優先しない学びの場です。途中でつまずいてもよく、迷いながら研究してもよい。生徒が「研究が好きかどうか」を考える時間そのものを大切にしています。

③ 有尾類は、人間の都合で生きていません。こちらが急いでも、相手は応じてくれない。生きものの時間に合わせることで、研究とは何か、学ぶとは何かを、体験として学びます。

④ 晩年の教育者にできるのは、答えを与えることではなく、問いの前に立ち続ける姿を示すことだと考えています。

私が残したいのは、完成された制度や派手な成果ではありません。生きものと静かに向き合った記憶、急がずに待ってもらえた時間、研究が競争ではなかったという体験です。それらが、生徒一人ひとりの中に沈殿し、いつか自分の問いを立てる力になれば、それでよいと思っています。

  • 投稿者 akiyama : 14:47
2025年度の中谷財団「科学教育振興助成)」の取り組み
中谷財団 科学教育振興助成は、小・中・高等学校等を対象に、児童・生徒の科学に対する興味・関心を高め、論理的思考力・創造性を育む教育活動を支援する助成制度です。 助成は「個別校助成」「複数校連携助成」「教員支援助成」など複数の領域があり、各学校の取組に対して助成金や支援が提供されます。 2025年度も全国の学校が採択され、成果発表会が2025年12月20日21日に開催されました。発表会では全国の小…続きを見る
フィリピン大学と高大連携で実施する地球環境を考える海外研修
山脇有尾類研究所が企画して、フィリピン大学と連携して、文科省SSH指定校の山脇学園高等学校の生徒対象で、2026年3月10日から3月16日の8日間の日程で、地球環境を考える海外研修を実施することになりました。 …続きを見る
マレーシアUTHMと高大連携で実施する地球環境を考える海外研修
山脇有尾類研究所がマレーシアのUTHMと連携協定を結んで文科省SSH指定校の山脇学園高等学校の生徒対象で、2026年8月16日から8月25日の10日間の日程で、地球環境を考える海外研修を実施することになりました。 …続きを見る
自宅池に雑草が繁茂。オオイタサンショウウオ幼生は確認。
オオイタサンショウウオの繁殖池を、自宅に隣接した畑の一角に造成したのは2004年4月9日のことである。それ以降、学校で飼育し実験材料として使った後の個体を放流するようになった。 現在では、毎年自然産卵が見られ、約50個の卵嚢を確認できるまでになっている。 しかし、2023年に私が東京に単身赴任してから3年が経ち、定期的な手入れができなくなった。そのため雑草が繁茂し、乾燥の影響が出ることを心配してい…続きを見る
オオイタサンショウウオ幼生をビオトープに放流
文部科学省のSSH事業に採択されたことを受け、校内に有尾類を対象とした生徒研究拠点として「山脇有尾類研究所」を立ち上げた。ここでは、実験室内での生殖や発生に関する実験的研究に加え、野外でサンショウウオが生息可能な環境を再現する生態学的研究もスタートした。 オオイタサンショウウオでは、卵から幼生を育てて変態・上陸段階まで到達させ、2つの実験池へ放流(11月5日に8匹、11月8日に4匹)することで、本…続きを見る
第6回高校生両生類サミットをZoom開催
11月3日に「高校生両生類サミット」を開催しました。高校生による研究発表と、研究者の先生方による講演を行いました。 本サミットはZoomを用いたオンライン開催とし、その特性を生かして全国から参加者を募るとともに、講演もインターネットを介して実施しました。 研究者による講演では、アメリカ合衆国バックネル大学准教授の高橋瑞樹先生、前基礎生物学研究所所長の阿形清和先生、島根大学特任教授の竹内隆先生から…続きを見る
同じ区内の麻布学園と両生類の研究を通して交流
11月1日、山脇学園では、学内に生徒が両生類を対象とした研究に取り組むための施設「山脇有尾類研究所」を開設しています。この日は、同じ港区内にある麻布中学・高等学校から、生徒5名と引率の教員2名が訪問されました。所長が研究所の概要を説明した後、動物飼育室での見学や、イモリやサンショウウオへの給餌体験を行いました。その後、お互いの学校の研究の取り組みについて発表し、活発な情報交換を行いました。本校の生…続きを見る
動物実験委員会で動物実験についての研修(教育訓練)を実施
本校動物実験委員会の委員である鳥取大学の大林徹也先生を講師にお迎えし、動物実験の研修会を実施しました。本校の生命科学分野の研究では生命倫理を重視しており、動物実験は研究計画段階で申請し、委員会の承認を得なければ実施できない仕組みになっています。委員会では、法令や各種指針に基づいて実験計画の審査や教育訓練を行い、適正な研究活動の推進に努めています。今回の講習会には、動物実験を計画している生徒30名が…続きを見る
第6回高校生両生類サミットのポスター完成
来月11月3日に開催する第6回高校生両生類サミットの配布用のチラシ(ポスター)が完成しました。 …続きを見る
台湾・日本爬虫両棲類学会合同大会 2日目
台湾・日本爬虫両棲類学会同同大会(日本爬虫両棲類学会第64回台北大会)の2日目も台北市立動物園で口頭発表、ポスター発表が行われました。ISEFに日本代表として派遣された生徒と取り組んだ研究を発表しました。 Reproductive strategies and adaptive evolution of Japanese newts(Cynops) Cynops is a genus of new…続きを見る
第6回高校生両生類サミットは11月3日開催
目的: ① 両生類をテーマにした高校生の科学研究を支援する。 ② ZOOMを使った高校生の科学研究の成果発表を通して、地域を超えた研究交流を行い、生徒間の友好・仲間意識を深め、全国の両生類研究のネットワークの拡充を図る。 ③ 講義とアドバイスを通して、大学や研究所の研究者に将来のロールモデルとしての役割を果たしていただく。 ④ 研究テーマを両生類に絞ることで、深い内容まで踏みこんだアドバイスを行…続きを見る
日本動物学会でイモリやサンショウウオについての研究を発表
2025年9月6日、日本動物学会第96回名古屋大会における高校生ポスター発表に参加しました。演題は「新規モデル生物イベリアトゲイモリの飼育と観察」および「飼育下におけるオオイタサンショウウオ幼生の形態特性に関する研究」で、これまでの取り組みの成果と今後の展望について発表しました。「高校生ポスター賞」をいただきました。 また、8月に本校と鳥取大学の連携で開催した環境学習交流会に参加していた他校の生徒…続きを見る
イモリ属<i>Cynops</i>の世界分布
イモリ属Cynopsの分類 IUCNや一部の図鑑で用いられる広い定義では、中国と日本に分布する約9種が Cynops 属とされます。 C. pyrrhogaster(アカハライモリ/日本本州〜九州) C. ensicauda(シリケンイモリ/琉球列島) C. chenggongensis(中国・雲南) C. cyanurus(中国・四川〜雲南) C. fudingensis(中国・福建) C. g…続きを見る
「蒜山の森」鳥取大学連携の環境学習交流会 3日目
鳥取大学教育研究林「蒜山の森」から鳥取大学医学部へ、バスで約1時間かけて移動した。医学部の講義室を借用し、参加校の高校生による科学研究の成果発表を行った。 参加校は、宮城県の仙台城南高校、東京都の山脇学園高校、茨城県の清真学園高校、神奈川県の県立横須賀高校、三重県の津田学園高校の5校であった。 本校の生徒は「新規モデル生物イベリアトゲイモリの飼育と観察」を題目として、研究材料としての活用を視野に入…続きを見る
「蒜山の森」鳥取大学連携の環境学習交流会 2日目
フィールドワークは午前と午後に分けて実施した。また、空いた時間に研究者からの実験指導もあった。動物調査では、近くの河川において水生動物を対象とした調査を行い、アカハライモリやヤゴ、カワゲラ、カゲロウの幼虫、プラナリアなどを確認した。植物調査では、片道30分かけて森林まで歩き、道中で植物や樹木の説明を受けながら調査地に向かった。調査地では一定の区画を設定し、その中にある樹木の樹種を調べた。直径5cm…続きを見る
「蒜山の森」鳥取大学連携の環境学習交流会 1日目
毎年11月にZOOOMで開催している「両生類高校生サミット」に参加している高校を対象に、対面での生徒交流と環境学習を目的とした研修交流会を、鳥取大学農学部附属フィールドサイエンスセンターの教育研究林「蒜山の森」で実施した。 生命科学分野の研究、環境問題、生命倫理についての講義や、野外でのフィールドワーク、各校による科学研究成果の発表を通して、生徒たちが実体験から学び、今後の研究に生かすことを願って…続きを見る
2025年11月3日、第6回高校生両生類サミットを開催
今年も11月3日に「高校生両生類サミット」を開催します。例年通り、オンライン会議ツールZOOMを使用して実施します。現在、全国から発表および参加を希望する高校生の応募を受け付けています。 本サミットの出発点は、岡山県倉敷市のSSH指定校である清心女子高校が主催する全国大会「集まれ!理系女子 女子生徒による科学研究発表交流会」にあります。この全国大会の地方大会として、九州大会が開催されるようになった…続きを見る
オープンスクールで小学生に有尾研を紹介
6月21日、山脇学園中学校・高等学校のオープンスクールが開催され、来校者に向けて山脇有尾類研究所の動物飼育室を一般公開しました。現在、飼育している有尾類は、アカハライモリ、アマミシリケンイモリ、オキナワシリケンイモリ、イベリアトゲイモリ、オオイタサンショウウオです。アカハライモリ、アマミシリケンイモリ、オキナワシリケンイモリは、昨年度のJSECで科学技術政策担当大臣賞を受賞した研究において扱った種…続きを見る
回転型ミクロトームにCoMBIを装着して、3D画像作成に挑戦
群馬県立県民健康科学大学の多鹿先生により開発された撮影システム「CoMBI」を、有尾類研究所の回転式ミクロトームに組み込んでいただいた。この装置で、パラフィン包埋された標本の切断面をデジタルカメラで位置をずらさずに連続撮影し、その画像をもとにパソコンソフトを用いて3D構造を構築する手法を学んだ。 有尾研では、この装置を活用して、まずイモリの貯精嚢の構造解明に挑戦する予定である。今後は、固定した標本…続きを見る
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