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実際に“触れること”が科学的思考を育てる①

2013年5月18日

はじめに

 1989年から小型サンショウウオを飼育し始めてちょうど20年になる。生物教室に同僚が水田に流れ込む溜りで採取したというバナナ状の得体のしれない卵嚢を持ち込んできた。孵化した幼生は、カエルのオタマジャクシの形ではなく、外鰓をもった魚のような形をしていた。湧水近くの溜りに産卵する止水性のカスミサンショウウオであった。当時の私は、ハチやヘビに出会うのが嫌で、水田や山を歩くことが好きではなく、両生類も苦手だった。しかしながら、発生の観察を続けているうちに苦手意識は消えていった。変態して上陸してから2年目に産卵させることができた。しかし、残念ながら、その時の卵は正常に発生しなかった。それ以降、飼育下で正常に受精卵を得ることが私自身の研究のテーマになった。いろいろな両生類の飼育繁殖に取り組み、飼育下でカスミサンショウウオ、オオイタサンショウウオ、イボイモリの受精卵を得られるようになった。今や生物教室は、両生類専用の「動物園」となり、生徒が毎日、生物教室を訪れ、餌やりと研究に取り組んでいる。また、野外での調査を通して、人為的な開発によって両生類の繁殖地が激減していることを目の当たりにし、自然保護について考えるようにもなった。
 これまで「動物を飼育すること」から本当にたくさんのことを学んできた。そして、飼育を通して生徒と接してきた経験から、今の高校生に、“動物に直接触れること”と“自然体験を多く持つこと”の必要性を感じるようになった。理科の学習には、知識だけでなく体験が必要である。直接体験が観察する目を養い、科学的思考の礎となる。

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