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研究課題「花酵母の採取・分類とその働き」

2007年6月30日

【研究の目的】
 草や木々にはいろいろな花が咲く。花の蜜を求めて、蝶をはじめ様々な虫たちが飛んでくる。虫たちはやがて次の花を求めてまた、飛び立っていく。自然で普通に見られる光景である。それでは、花の蜜は虫たちのためだけに役立っているのだろうか。実は、目に見えない微生物たちもまた、花の蜜の恩恵に浴しているのである。その中には、酵母菌と呼ばれる微生物も含まれる。そして虫の体に付着して、酵母たちもまた別の花へと運ばれていく。このような背景をもとに、花に生息する酵母を題材として、いろいろな角度からアプローチすることで、自然界における生物相互の関係ならびに野生酵母のもつ能力(機能)を理解することは意義のあることと考える。

 本課題では、清心女子高校の立地する二子山や、沖縄の西表島、鳥取大学蒜山演習林より、いろいろな花に生息している野生の酵母を採集し、以下の実験・研究を行う。

① リボソームRNAをコードするDNAの配列をもとに、採取した野生酵母を分類する。

② どんな花にどのような酵母が生息しているかを調べ、酵母と花との関係を微生物生態学的に解析する。

③ 採取した酵母の胞子形成能を調べ、野生酵母にも「性」が存在するのかどうかを解析する。

④ 採取した野生酵母の働きを調べ、工業、環境保全、バイオマス利用の観点から、人間生活にとって有用な菌株が見いだされるかどうか検定する。

 以上の実験・研究を通して、自然界に存在する微生物のうち、酵母菌に分類される真核微生物の多様性、生態、機能およびその有用性について考察することを、主目的とする。

【研究の発想】
 花をつける植物は、虫によって花粉が運ばれ、その繁殖を助けられている。花に生息する微生物(酵母菌)もまた、虫によってその増殖を助けられている。それでは、花にはどんな酵母が付着、生息しているのだろうか?それは、どこからどのようにして運ばれてきたのだろうか?
 高校の生物の教科書には、酵母は出芽により増殖する無性生殖の例としてあげられている。多くのキノコ、カビそして細菌にも、「性」の機構が存在することが明らかにされつつあるが、酵母は本当に「無性的に」増殖するだけなのだろうか?自然には多くの酵母が存在するが、すべてが無性生殖だけで増殖するのだろうか?性を持って、遺伝子交換を行う酵母はいないのだろうか?
 酵母といえばアルコール発酵を行う代表として、取り上げられている。しかし教科書で取り扱うパン酵母も、嫌気的な条件下では解糖系からアルコール発酵へと進むが、好気的な条件下では呼吸(TCAサイクル)でより多くのエネルギーを得ている。嫌気的条件下では、すべての酵母がアルコール発酵を行うのだろうか?アルコールを作らない酵母も存在するのではないだろうか?さらに、アルコール以外の、私たちの生活に役立つ物質を作りだす酵母はいないだろうか?

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