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「対等な関係」と「何ものにも支配されない」ことが大切

2024年6月27日

2016NHKアドラー.jpg

 アドラー(心理学者)は多くの著作、世界中で行った講演活動を通じて、一体、何を伝えたかったかを考えてみます。

 まずは、人間は親も子どもも、上司も部下も、性別にも関わりなく、すべての人間が対等の横の関係にあるということです。人間の価値に上下はなく、誰もが同じ権利を持っているので、誰かが誰かを手段として扱うこともできません。

 次に、人は誰にも何にも支配されないということです。どんなふうに育ったか、過去にどんな経験をしたか、また、感情にも支配されないということです。自分が何ものにも支配されないのであれば、自分も誰をも支配することはできないと
いうことです。

 この二つの考え方こそが、言葉の本当の意味での民主主義であり、「自分自身の幸福と人類の幸福のためにもっとも貢献する」と私は考えています。アドラーは、自分が医師になったのは、この世界を変革したかったからであるといっています。どのような世界になることを目指していたかは今
や見えてきたのではないかと思います。

 人間はすべて対等であるということを理解することは難しいことではありません。しかし、今も多くの人は、子どもや若い人、部下を当然のようにはめたり叱ったりしていますが、そのことは、人を支配し、操作することに他なりませ
んし、そうする時に築かれる対人関係は対等の横の関係であるとはいえません。「しつけには叱ることも必要だ」と思っている人がいる限り、この世から虐待や体罰はなくなりません。同様に、人間が対等であることを対人関係においてどう
することなのかを理解しないで、政治的なスローガンとしての民主主義を掲げているだけでは、この世から戦争がなくなることもないでしょう。対等の関係であれば、何か問題が起こっても、力を使うのではなく、言葉を使って解決すること
ができるはずです。
 アドラーのいう「共同体感覚」は理想であり、すべての人が他者を仲間と見なして、互いに協力しあう世界が、そう簡単に出現するとは思えません。しかし、実現していないから理想なのであって、理想だけがこの現実を変える力を持って
いるのです。現実はこうなのだと現実を追認するだけでは世界は変わりません。今後、アドラーの思想に触れて、対等であるとは何なのかと考える人が増えていけば、世界はいい方向に向かっていくはずだと私は考えています。
出典:NHKテレビテキスト2016年2月『100分de名著・人生の意味の心理学(アドラー)』岸見一郎著より抜粋

アドラーが言うように、 「大人も子どもも、性別も関わりなく、すべての人間が平等であること」、そして「人間が誰にも支配されないこと」が民主主義の基本であると考えると、次の世代の子どもたちを育ている学校でも基本になる考え方だと思います。

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