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"科学課題研究"が学校教育改革の鍵

2016年9月23日

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 イノベーション(英: innovation)の略語として「技術革新」が使われているが、現代のイノベーションの意味は新しい技術の開発や発明だけでなく、アイディアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす自発的な人・組織・社会の幅広い変革を意味するものになっている。つまり、それまでのモノ・仕組みなどに対して全く新しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を生み出して社会的に大きな変化を起こすことを指している。イノベーションを起こせる人材を育てるためには、多様性(ダイバシティ)を認める基盤が必要である。
 16年前に、私は「清心中学校・清心女子高等学校の展望」(紀要No.13,p33-117掲載)で以下のような意見を述べている。
 今までの教育は、高校・大学と教育段階が進むほど、組織的(学科や学部など)には、目的別に細分化されているが、入試制度の設定の仕方や能力の捉え方など全体的に見れば、基本的に画一的であり、多様な教育対象に対して一つの制度で対応してきた。しかし、現代のようにニーズが複雑化すると、これまでの制度では対応しきれなくなってきているのが現実である。旧来の画一的な扱い方とセットで最優先されてきた「みんな同じでなければならない」という平等主義もまた、再考が必要になってきている。今までは自由と豊かさを保証するためには「平等」が必要であったが、等質的な「平等」だけでは対処しきれない事態があらわれてきた。高度情報化や国際化、家庭地域の教育力の低下など、教育を取り巻く環境が大きく変化している今の時代は、異なる理念による異なる組織の再構築が必要な時代なのである。
 当時の考え方の延長線上に私が運営してきたSSH事業への取り組みがある。「授業研究」では、問題を解決するために考える過程を重視する。生徒にとって「難しいけれど,取り組むことで満足感を得られる」授業を構築することが必要であり、生徒の「前向きに取り組む意欲」をいかに育成するかを考えなければならない。学校教育で今もっとも話題になっているアクティブラーニングについては、ICTを使うとか、KJ法を使うとか、ワークショップの形式にするとかいう方法の問題ではなく、生徒と教師の関係が相互に意見交換でき、相談できるような関係が必要なのであり、最も有効なアクティブラーニングは「課題研究」だと考えている。文科科学省の報告では、2015年度の「理科課題研究」を取り入れている学校は10%しかない。多くの学校がまず「理科課題研究」に取り組むようになららければ、学校教育でのイノベーションは期待できない。「理科課題研究」の展開を他教科の「課題研究」に広げることが重要になってくる。

 文科省SSH、SGH事業に取り組んでいる多くの学校で、課題研究の発表会が公開されている。SSH校では科学分野、SGH校では社会科学など広い分野の研究成果を聞くことができるので、いろいろな教科の先生方にテーマ設定などで参考になる情報が得られると思う。

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