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本校の第三期SSH事業をどんな視点で考えるのか。

2016年4月 6日

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「科学をなぜ学ぶのか」という講義をしている夢を見ている途中で、午前5時ごろ目を覚ました。夢でも仕事のことが気になっているんだと改めて感じた。入試のために限定した内容を扱うことが無駄のない授業だというのが今の教育現場の価値観の基盤になっているのかもしれないが、「何のために生きるのか」、「何で自分が存在していいのか」にずっと悩んできた自分には、高校の理科の教員をして、「科学をなぜ学ぶのか」について言及することはとても大切なことだと考えている。

 本校の第3期SSHでは、理工系・医学系の大学の先生方だけでなく、市役所の方やESDに関わってきた方やマレーシアの大学で環境保全を教えている先生を運SSH営指導委員会のメンバーに招いている。文部科学省のSSH事業は、日本の将来をになう人材育成のための理数教育プログラムの開発を目的にしたものであるから、多角的な視点から意見をっもらいながらも理数教育を念頭に置いていることを忘れてはならない。しかしながら、「行政や世界の趨勢」を捉えて一歩踏み出したところに、新しい教育プログラムが構築できる可能性があると考えている。

【参考】『清心女子高等学校SSHガイドブック2015』の"運営指導委員からのメッセージ"から
「清心女子高のSSHの10年を振り返る」 京都大学大学院理学研究科教授 阿形清和
以下は秋山先生が書いた<科学>に対する文である。
『科学は、いろいろな意味で常識をくつがえしてきた。その意味で、科学が明らかにしたことは、不可能を可能にするということだけでなく、広く人間の思考にも影響を及ぼしてきた。』
私は、これを以下のように読んでみた。
『清心のSSHは、いろいろな意味で常識をくつがえしてしてきた。その意味で、清心のSSHが明らかにしたことは、不可能を可能にするというだけでなく、多くの女子高生の思考にも影響をおよぼしてきた。』
この文を、ここ10年の清心女子高のSSHが果たしてきた成果を端的に物語っている言葉として掲げたい。10年前に、秋山先生の所を訪れた時に、SSHというプログラムがあること、清心でやっている秋山先生の活動を発展させるにはSSHになることだ--と伝えたが、まさかここまでの大進化を遂げるとは夢にも思わなかった。まさに、<不可能を可能にした>SuperSSHプログラムだった。そして、京大の理学研究科の生物物理学専攻の私の研究室に清心女子高のOGが2名も大学院生として入って来ようとは---。10年前にはとても想像できなかった。多くの女子高生の思考に影響を与えたことの一つの証拠として、ここに記しておきたい。
清心のSSHプログラムの精神性は以下の文章に良く表わされている。
『これまで、科学が私たちの生活にもたらした変革を語るとき、科学を応用した結果として生まれた技術が、私たちの日常生活をどのように劇的に変えたかという点が、おもに強調されてきた。しかし、技術ではなくて、科学の知識が私たちの世界観を根本的に変革するという、「生命」を見つめ直すような、生命観の育成を目指した教育が必要があると考えられる。また、社会的な立場で「女性」をみたとき、「自立できる女性」の育成が急務である。生命科学の進展にともなう時代の変化の中で、自らの力を生かし社会に貢献できる女性を育成することが必要とされている。』
そして、この目標を達成するために、どのようなプログラムを推進したかというと、
『これまでの教育では、考えられなかった多彩な「学びの場」を設定する必要がある。フィールドワーク、校外研修、実験・実習、高大連携、卒業生との交流などによる、知的刺激にあふれ、学びへの意欲を高める授業を展開する必要がある。』
まさに、清心のSSHプログラムの根幹をなす文章である。久米島、蒜山からマレーシアにいたる多彩なフィールドワーク、学校の枠を越えた交流、女子高生に知的刺激を与えるのに十分な活動がなされたと総括してよかろう。
そして、さらに特筆すべき点は、これらの女子高生を対象とした活動を全国レベルにまで展開した点である。どこにそんな元気があるのだ---という驚きをもって受け止められた。その気概に応えて、昨年の京大で開催された全国大会で述べた言葉を、清心のSSHの10年の記録の一つとして記しておきたい。
「STAP問題で<リケジョ>が一瞬高く持ち上げられ、そして一挙に落とされてしまった。しかし、私は心配していない。なぜなら、<真のリケジョ>はこれから続々と登場してくるからだ。それは多彩な経験を通してしか養われない科学のセンスを、高校から身に着けた若手が育っているからだ。諸君らには、ヒューマンウォッチングを含め、いろいろなユニークな経験を積み重ねて、<リケジョ>の新たな時代を切り開いてもらいたい。」

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