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日本爬虫両棲類学会 第49回大会(慶応義塾大学日吉キャンパス)で発表

2010年10月10日

【要旨】
アカハライモリの秋から春にまたぐ多重交配について
−両季節の精子が受精に利用されている遺伝学的証拠−
The multiple mating of Japanese fire belly newt in spring over fall:
Genetic evidence for insemination with the spermatozoa incorporated in both seasons
○秋山繁治(清心女子高校)小泉雄紀・三浦郁夫(広島大学・大学院理学研究科・両生類研究施設)

 アカハライモリ(Cynops pyrrhogaster)の野外における繁殖期は基本的に春(4月から7月)であるが、実際には、秋(10月11月)にも配偶行動を観察することができる。本研究では、この秋交配が春同様、真の交配であるのかどうかを検証するため、解剖学的及び遺伝学的調査を行った。
 まず、組織学的に一年間の貯精嚢中の精子の状態を調べると、8月9月にはほとんど精子が見られず、卵巣にも成熟した卵が少ない。したがって、8月までに繁殖期は終焉し、そこから新たに次の繁殖可能な状態に向かうと考えられる。実際、10月にはホルモン注射による産卵誘発で受精卵が得られたことから、秋には既に精子が取り込まれ、卵も生理的に受精可能な状態に達していることがわかった。
 次に、秋に取り込まれる精子と春に取り込まれる精子を区別するため、生息地の異なる個体(岡山産と大分産)を材料に用い、視物質遺伝子の配列の違いを同定してマーカーを確立した。そして、2つの集団の雄を秋と春、それぞれ別々に導入して、産まれた受精卵の遺伝子型を解析した。その結果、1)秋の精子は春まで受精能を維持しているが1年は持たないこと、2)秋と春の精子は両方が使われるが、使用パターンは個体によって異なることが判った。以上から、アカハライモリの交配は、本来、秋に始まって春まで続く長いものであるが、そこに冬眠が挟まった結果、現在のような二重の繁殖形態になったと考えられる。また、春の精子の取り込み率は卵の受精率とは無関係であることも判明した。

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口頭発表の様子

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ポスター発表


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