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「夕鶴」 石垣りん

2010年8月27日

詩集「略歴」は、初版第四刷が1980年10月25日にでている。本の帯には「石垣りん最新詩集」とある。一刷が1979年なので、詩集として売れていたのかもしれない。僕は大学をでたばかりであった。久しぶりに、本棚から取り出して眺めてみた。「夕鶴」という詩が目にとまった。

それが
はじめての約束だった。

しあわせとか
愛とか
希望とかいったものを
与えるかわりに
けっして私を見てはならないと。

お前は見た。

お前の好奇
お前の欲
お前の乏しい智慧。

私はもう見られた姿のままで
お前の所にとどまることは出来ない。

さようなら

そういったのが
物語の鶴ならよかった。

地球が
人間から遠ざかってゆく。
ちいさく
ちいさく
なる。

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