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オピニオン・なぜ性教育が必要か。身につけたい自己決定力

2006年4月 1日

山陽新聞 「談論風発」のコーナー 2002年12月朝刊

岡山県性教育協議会で、教師対象の性教育についてのアンケートを行ったことがある。「性教育が必要ですか」という質問に、 97%が「必要である」という答えであった。その理由については、全体的には「自分を大切にして欲しい」という、生徒への直接的な要望をあげているが、男性や年齢の高い世代では「性道徳の低下」という社会への影響を理由としてあげる比率が高くなっている。
この背景には教育活動についての考え方に性別や世代によって大きな違いがあることを示している。教育活動を個人の幸福に帰着させるものと考えるか、または教育活動を社会に対する役割を果たすものと考えるか、の違いを表している。前者から見れば、後者は個人を大切にする視点を欠いているととらえられるし、逆に後者から前者をみれば、個人主義だととらえられることになる。
性教育の必要性は多くの教師が認めているが、性別や世代によって求める方向が異なり、そのことが性教育を進めにくくしている。
小冊子「ラブアンドボディ」
性教育が必要だといわれながら、なかなか進まない状況で、中学生に必要な性の基礎知識を与えるということで、全国の中学生に「思春期のためのラブ&ボディBOOK」(母子衛生研究会作成)という小冊子を配布する計画がなされ、話題になった。
配布直前になって、「ピルの勧めになる」「コンドームの使い方を中学生に教えるのはゆきすぎだ」などの意見が出され、結局、配布は中止にされた。しかしながら、一方で「寝た子を起すな」的な考えでは、現状に対応できないとし、配布すべきだったという意見が今もある。
今、高校3年生の性交体験者は4割を越し、未成年の中絶者が年々増えている状況を考えると、私自身は「避妊を教えることが、性交をすすめる」と危惧するより、学校教育で必要な性の基礎知識を的確に与えることを優先したいと思う。
広い視点で性教育を考える
「中絶をする」、「望んでいないのに出産・子育てをする」ということは、避けるべきである。そのために性の知識を的確に教えることが必要である。しかしながら、性教育を生命尊重の視点だけで考えて欲しくない。
性については、「女子高生の性の乱れ」と表現されるように女性の性経験ばかりに好奇の目を向け、中絶や望まない妊娠などで「傷つくのは女だけだ」といわれるように、男女で非対称的な意識の歪みが現在でも存在し、また、同性愛などの性的なマイノリティに対する偏見も根深い。
性教育は、性のあり方によって差別されない社会をつくっていく役割も担っていかなければならない。自分自身の人権意識を高め、そして、最終的に、生徒が自分自身で考え、どのように行動するかを選べる力(自己決定力)を持つようになることを願って性教育に取り組みたい。
総合的な学習のテーマに「性」
来年度から高校でも新教育課程が始まり、「総合的な学習」の時間が盛り込まれ、今までの教科の枠を越えた授業が誕生する。「総合的な学習」を、人間として生きる力を身につけるために設定するなら、「性」も大きな一つのテーマになるのではないだろうか。

山県性教育協議会  秋山繁治

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