生命科学コース生徒の部屋

グローバルサイエンスキャンパス

2015年5月 6日

先日、慶應義塾大学で行われたグローバルサイエンスキャンパスというプログラムに参加しました。

1日目の午前は東京大学医学部准教授のDr.Beate Heissigに幹細胞についての講義をしていただきました。科学者であるためには、誰も答えの知らないものを調べる勇気・失敗する勇気が必要であり、さらにグローバルであるためには、新しい環境を受け入れて楽しむ勇気・常に疑問を持つ勇気が必要です。Dr.Beate Heissigも造血幹細胞が骨髄からとれるがひどい激痛を伴うことから、血液中から幹細胞はとれないのか?また、従来の方法では少量しか取れないことから、より多く取れる方法は何なのか?という疑問を持ち、研究を始めたそうです。英語での講義でしたがとてもわかりやすかったです。

午後は、物理化学の基礎と分子集合の研究についての講義でした。物理化学は私があまり得意ではない分野なのできちんと理解できるか不安でしたが、具体的な説明と実習によってとても興味が持てました。物体の中の分子の持っている内部エネルギー(位置エネルギーや運動エネルギー)やギブスエネルギー、界面活性剤などについての講義でした。ギブスエネルギーは減少すると反応を起こし、G=H-TSという式で表されます。(G:ギブスエネルギー、H:エンタルピー、T:絶対温度、S:エントロピー)エンタルピーが減少、またはエントロピーが増加することにより、ギブスエネルギーは減少します。実習では水とエタノールの表面張力の違いを比べたり、界面活性剤の表面張力を測ったりしました。

2日目は動物実験の倫理についての講義を聞きました。家庭動物や展示動物は終生飼育されていますが、産業動物や実験動物は途中で殺され、人に使われます。そのなかでも、産業動物は痛みのほぼない安楽死ですが、実験動物は多くが病気にさせられたり、苦痛を受けます。私たちがこれから研究に取り組む中でこの実験動物をどう扱っていけばいいのかということを学びました。実験動物は人が所有している動物のおよそ0.4%と少ないですが、それでもそれらの実験動物たちができるだけ苦痛を受けなくて良いように私たちは3Rを守らなければいけません。代替(replacement)、削減(reduction)、軽減(refinement)です。私たちの研究でもアカハライモリを実験動物としてあつかっているので、改めて動物倫理を考え直す良いきっかけとなりました。

最後に井上教授から研究倫理についての講義をしていただきました。研究に取り組む上での心得、客観性の大切さ、実験ノートの使い方、安全に実験を行うための注意などをとても細かく丁寧に教えてくださりました。

2日間とても内容の濃い日になりました。また、レベルの高い高校生の方々と交流することから視野が広がりました。

投稿者: 日時: 10:25

このページの先頭へ