生命科学コース生徒の部屋

最近読んだ本

2015年4月25日

『やっぱりすごい!日本の再生医療』という本を読みました。再生医療という言葉を毎日のように新聞やテレビで見かけるようになりました。再生医療は私が今一番興味を持っている分野のうちの一つです。再生医療とは、簡単に言うと、失われた体の機能を回復させる医療のことです。例えば京都大学の山中伸弥教授が開発したiPS細胞も再生への応用が期待されています。この本ではiPS細胞をはじめとした、角膜、皮膚、歯周組織、膝軟骨や半月板の再生など、様々な最前線の再生医療がわかりやすく紹介されています。

私が一番興味を持ったのは中枢神経系の再生です。中枢神経系とは生命活動に必要な働きをコントロールする役割を持っているものです。スポーツ事故などで脊髄などの中枢神経系を損傷すると、下半身麻痺などの障害が残ることがあります。脊髄損傷には今のところ有効な治療法はありませんが、神経の肝細胞を使った新たな治療法や、iPS細胞による再生医療の研究も始まっています。

皮膚は傷ついたときに再生しますが、脳にある神経細胞には幹細胞がない為、再生できないと長い間考えられてきました。しかし慶應義塾大学医学部生理学教室の岡野栄之教授は脳の肝細胞はどこかにひっそりと存在しているのではないかと仮説を立て、様々な研究の結果ショウジョウバエの神経細胞の中に新しく細胞をうみだす能力のある幹細胞に関係するMUSASHI遺伝子を探し出すことに成功しました。ちなみにMUSASHI遺伝子という面白い名前を付けた理由は、MUSASHI遺伝子は正常に働かないとショウジョウバエの毛穴から毛が二本生えてしまうということから、二刀流ということで宮本武蔵の名を引用したそうです。

岡野先生の研究内容、その他の再生医療に興味があればとてもわかりやすいのでぜひこの本を手に取ってみてください。

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テルモ科学技術振興財団「生命科学DOKIDOKI研究室」監修 いのちの不思議を考えよう② やっぱりすごい!日本の再生医療

投稿者: 日時: 07:42

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