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本校の高校生2名教員1名が福武教育文化振興財団の「オーストラリア・プレ体験留学」に参加しました。(2013.8.11~17)

これは、岡山県内の海外留学に興味のある高校生と教員対象に、オーストラリアの大学およびTAFEの職業教育・語学学習に触れ、海外留学のプレ体験を味わうことを目的とした研修です。

参考:福武教育文化振興財団

参加した生徒の感想

留学体験で得た多くのこと(高校3年生 Sさん)

私が今回このオーストラリア・プレ体験留学に参加したいと思った理由は、以前から海外留学に興味を持っていて自分が目指していることや就きたい職業に必要なことを海外で学び、スキルを身に付けたいという気持ちを持っていたからです。日本の大学のオープンキャンパスに行くように海外の学校を見に行くことはなかなかできません。そこでなかなか視察できない海外の学校を実際に視察することができるこのプレ体験留学が私の進路選択につながるのではないかと思い参加を決めました。

私たちは二日間、TELCの授業を体験しました。授業の内容は日常会話に必要な基礎的な英会話を学ぶことから始まりました。先生の言っていることは理解できているし、日本でも英語や英会話を学んでいるはずなのに、緊張していたこともあり、授業一日目は自分の思うように発言ができず悔しい思いをしました。授業二日目には、前日の悔しい思いを少しでも挽回しようと発言するように心がけ、積極的に先生とコミュニケーションをとるようにしました。授業を受けて、自分の積極性の無さに改めて気づくことができ、もっと人とコミュニケーションをとれるようになりたい、英語を自分のものにしたいと強く思うようになりました。

TAFEの視察をして思ったことは、基本的なことから専門的なことまでしっかり勉強でき、スキルをちゃんと身に付けることができる素敵な学校だなということです。ただ椅子に座って授業を聞くだけといったようなことはなく、学生さんたちが本格的な実習を実際に行い勉強しているところに魅力を感じました。アートやチャイルドケアなど数々のコースを視察させていただきましたが、どこのコースの学生さんも真剣に且つ楽しく勉強しているように見えました。

そして三日間にわたり、ニューサウスウェールズ大学・シドニー大学・マッコリー大学の見学もしました。各大学でベネッセの方たちから私たちに課題が出されました。大学にある学部やサークルを大学生から聞き出してくるという課題です。ニューサウスウェールズ大学では学部とサークル、シドニー大学では学部とシドニー大学出身の首相の名前・ノーベル賞受賞者、マッコリー大学では学部と大学の何学部で何を学んでいるのかを三人の学生に聞いてくるという課題でした。聞き出すには当然、英語で話しかけに行かなければなりません。毎回、話しかけることへの不安と恐怖がいっぱいでした。3つの大学に共通して、とにかくキャンパスが広大で、学生ではない一般の方や他大学の学生さんたちもキャンパス内にたくさんいたことが印象的でした。なので勇気を出して話しかけた相手がそこの大学の生徒ではないということも多々ありました。話しかけるまでのハードルが高く、簡単に話しかけて会話が出来たわけでもないけど、向こうの方はとても親切でフレンドリーだったので、緊張もほぐれ楽しく会話をすることができ、課題をこなすことができたのだと思います。この課題を無事終えた時には大きな達成感を感じることができ、英語で話しかけることへの自信もつきました。自分の語彙力の無さや、コミュニケーション能力の無さを痛感しましたが、今回のこの経験が確実に自分の将来の自信につながると思いました。

一週間という短い期間ではありましたが、この貴重な体験をさせていただいたおかげで、留学をしたいという気持ちは以前よりも増して強くなりました。この経験を踏まえて、悔いのない進路選択をしようと思います。

最後に、福武文化振興財団の方々、現地の先生方、ベネッセの方々やこのプログラムのすべての関係者の皆さん、本当にありがとうございました。そしてこのプレ体験留学の参加を応援してくれた両親にも感謝します。

(高校3年生 Hさん)

私は、もともと留学に興味があったのですが、いつするのか、どこにするのかなど、具体的なことは全く決まっていませんでした。学校でも進路の話になり、進路をどうするのか色々と悩んでいた時に、このプレ留学の知らせを見つけ、一度留学がどのようなものなのか、自分の目で見てみたいと思いました。私は説明会に参加して、初めてTAFEという学校があることを知りました。留学をするには、レベルの高い英語力が必要だと思っていたのですが、TAFE付属の英語学校で、数か月間は英語をしっかりと学ぶことができ、その後、TAFEで将来自分の就きたい職業について専門的に学べ、また英語を学ぶのではなく、英語を使って何かを学べることができるというところに魅力を感じ、このプレ留学に参加してみようと思いました。

TELC英語教室は、先生がゆっくりとした英語で教えてくれ、分からないところがあれば丁寧に教えてくれたので、理解が深まったと思います。また、日本の英語の授業とは違って、読んだり、書いたりするだけでなく、友達と協力して答えを考えたり、ゲーム方式の授業もあり、どの授業も興味を持って授業を受けることができました。普段学校で、自分から発言することが少なかったのですが、今回の授業を通して間違えても良いから、自分から発言することが必要なのだと感じました。

TAFEでは、どれも高度な職業訓練が受けられ、英語だけでなく専門的な技術や知識が身につくので、とても良い環境だと思いました。チャイルドケアを学ぶコースでは、幼稚園と変わらない施設があり、そこで実際に子供たちを呼んでお世話をすることで様々なことが学ぶことができ、また調理について学ぶコースでは、昼は部屋を教室として使い、夜はレストランとして営業するという、日本には全くない制度ばかりでした。TAFEには、学生もいれば大人の人も一緒になって学んでいるのに驚きました。

大学見学で、どのような種類の学部があるのか、サークルの種類はどのようなものがあるのかなどを生徒の人に聞いてみるという、いくつかの課題が出されました。最初、どのように質問すればよいかわからず、あまり上手に会話することができませんでした。自分が伝えたいことが、相手にうまく伝わらず苦労もしましたが、どのように質問すれば、その答えがかえってくるのか考えることで、より英語への関心が深まりました。オーストラリアの大学には、世界各国からたくさんの人が集まっているので、色々な言語が交わされてとても面白く感じました。

今回このプレ留学に参加して、自分の将来について見つめ直すことができました。どのような進路に進むのか、自分なりに考えていこうと思います。一週間の間にたくさんのことを学ぶことができ、とても良い経験になったと思います。

参加した教員の感想

オーストラリア・プレ体験留学に参加して(菅沼祐子)
オーストラリアの職業教育とTAFE

まず明らかに日本と違う点は、高校卒業後に自らが設定出来る『ギャップイヤー(1年間の進路選択期間。この間に多くの子どもがボランティア等を行い自らの興味関心を広げる)』であり、これこそ子ども達に進路決定を急がせない優れた教育制度だと感じた。現地で子育てをされたコーディネーターの方に尋ねると、実際高校卒業時点で自らの進路を選べる子どもは少なく、結局大学生になって自分の希望する専門ではなかったと学部を替えたり退学してTAFEへ入学する子どもも少なくないそう。

また就職後TAFEで専門知識を身につけてキャリアアップを目指したり、勿論一度就職してからmature生(社会人入学。学費が優遇される)として大学で学び直しをする大人も多いそうだ。コーディネーターさんの『オーストラリアは日本みたいに大学に合格しなくても人生の終わりではありません。』という言葉が印象に残っている。思い立ったら何度でも学びの場に飛び込み、自由にスキルを身につけることが出来る環境ということだ。

実際にNorthern Beaches Collegeで視察させていただいたCeramicコースでは実に楽しそうに陶芸を学ぶ年配の方々を拝見し、TAFEは職業教育の一環で資格取得の出来る専門機関であると同時にいわゆる生涯学習の場でもあり世代間交流も出来る優れた教育施設でもあると魅力を感じた。

生徒達の様子

大学見学
生徒達は全ての大学見学を通じて、『現地の大学生にインタビューをして各大学の学部や特徴などを教えて貰う』という課題を与えられたものの初日はなかなか成果が得られないようだった。しかし最後のマッコーリー大学では地図を解読して図書館まで辿り付けたグループ、10名以上の学生にインタビューを重ねたグループもいて各々工夫して課題に取り組めていたようだった。

TELC英語教室
初日はとても緊張していたようだったが次第に授業中に笑顔で英語を話す姿が見られるようにもなった。プログラムにはオーストラリア流挨拶やオーストラリアのお菓子当てゲーム、似顔絵当てゲーム等が用意してあり、楽しみながら英語に取り組むことが出来る工夫がなされていた。2日目はTELCの授業間にティーブレイクが用意してあり、カフェテリアで甘いものを食べたり飲み物を飲んだ後、生徒がかなり元気になって授業に戻ったのが印象的だった。

TAFE見学
目的意識の高い生徒が多かった為、各学科で気になったことを質問したり熱心に見学する姿が見られた。また、初日はただキャンパスツアーの教員の説明を聞くだけだったが最終日には説明を受ける際にもアイコンタクトを取る・分かった点で頷く・質問にすぐ反応するなど意欲的に参加出来ていた。

その他
添乗員さんから何か質問をする前にまずは笑顔でHow are you?とワンクッション置くと話がスムーズに進むと教えて貰ったり、引率教員に英語を話すコツを質問したり等生徒達はこの研修を通じて、英語を使うコミュニケーションの際に役立つ実用的なヒントを得ることが出来たのではないかと思っている。

教員として気が付いたこと

TAFEの授業を視察した際、実技的な授業ではあるが教員と生徒が共によく対話を行いながら授業が展開されている点にとても感動を覚えた。授業は教員の知識一辺倒にならず、教員は良い質問が挙がればその生徒を褒め、また共に質問の答えを探求する姿勢が新鮮だった。おそらく教員の仕事はタフであることが求められるであろうが、同時にやりがいも大きいのではないかと感じた。生徒は何か疑問に思ったらすぐに発言し、それが歓迎される授業は生徒の知的好奇心を高める授業であるともいえるのではないだろうか。これは日本の一斉式授業、教員が知識を上から授けるだけの授業の長短を考えるきっかけにもなった出来事であった。

また、TAFEでも各大学でも当たり前のようにdisable supportが整っており、どのような立場の人に対しても機会を均等に、不便のないよう便宜をはかっているのが良く分かった。実際に車椅子の学生も見かけた。

Ryde CollegeのHorticultureでは、現在世界的に重要視されているサステナビリティーに力を入れているという話が印象的であった。生徒達で池を作り、そこに様々な動植物が集まったり、溜まった雨水を再利用する。レンガや石灰岩を使って全く何もない新地から設計し造園をするのも可能な限り資源の再利用をしながら行うエコ・フレンドリーなコースだと感じた。そしてカレッジの中にもRecycle,Garbage,Organicと設定された3種類のゴミ箱が設置してあったのも印象的であった。

実際にMeadowbank collegeのInformation Technologyで説明をしてくれた教員が岡山に留学をしたことが有ると聞きとても驚いたのだが、彼は習った日本語はほぼ忘れてしまったけれど留学中習った剣道を今でも続けている、と教えてくれたことに感動した。留学をするということは異文化を受容する体験を得ることだが、それは一個人に生涯残る大きな出来事であると改めて感じる出来事でもあった。

改めまして、このような知識見聞を広める機会を与えてくださった福武教育文化振興財団に感謝の言葉を述べさせて頂きたいと思います。実際に岡山県の教員を代表して今回のプレ体験留学の引率をさせて貰い、改めて日本を外から眺め、自己を客観的に見つめることが出来たと思います。また、オーストラリアという場に果敢に挑戦する日本の青年の姿を見ることが出来たのはまさに日本の将来を担うだろう若者達を垣間見れた気がして教育者として強く感動を覚えるものでした。このプレ体験留学は現在グローバル教育に興味が有る教員は、是非率先して参加していただきたい有意義な研修であると思っております。

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